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2012 年度 実施状況報告書

イヌ組織球増殖性疾患に対する抗マラリア薬アルテミシニン誘導体の評価

研究課題

研究課題/領域番号 24780304
研究種目

若手研究(B)

研究機関北海道大学

研究代表者

細谷 謙次  北海道大学, (連合)獣医学研究科, 助教 (50566156)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードアルテミシニン
研究概要

本年度の研究では、犬組織球性肉腫が鉄を多く含有していると推測し、鉄反応性物質であるアルテミシニン類が抗腫瘍効果を持つという仮説に基づいて各実験を実施した。まず、犬組織球性肉腫症例より採材した腫瘍組織を用いて、腫瘍組織内鉄含有量をICP-MS法およびベルリンブルー組織染色法にて定量した。結果、ICP-MS法による定量では血液混入の影響が大きく、他の腫瘍との単純比較は不可能であったものの、ベルリンブルー染色法においてすべての組織球性肉腫で染色陽性であり、犬組織球性肉腫は細胞内に高濃度の鉄を含有することが示唆された。
次に、樹立した犬組織球性肉腫細胞株を持ちいて、In vitroにて細胞障害性試験を行ったところ、用いたすべての細胞株においてジヒドロアルテミシニンは細胞障害性を示すことが確認された(IC50=7.6-10uM)。
細胞内鉄含有量が細胞障害性に関連しているという仮説の照明のため、犬組織球性肉腫細胞にクエン酸鉄アンモニウム(FeAC)およびヒトホロトランスフェリン(hTf)を作用させ、細胞内鉄量の測定およびジヒドロアルテミシニンに対する感受性の変化を観察したところ、FeAC・hTfどちらの場合でも細胞内鉄含有量は増加し、それに伴ってジヒドロアルテミシニンの細胞障害性も増強されることが示された。逆に、細胞内鉄を減少させる条件を設定したところ、ジヒドロアルテミシニンの細胞障害性はほぼ完全に抑制された。
また、上記の細胞障害性は、アポトーシスの誘導によるものであることを、アネキシンV染色法により確認し、鉄添加条件および鉄キレート条件において、ジヒドロアルテミシニンのアポトーシス誘導効果がそれぞれ増強および抑制されることを確認した。
現在、犬組織球性肉腫細胞をヌードマウス皮下に移植した担癌マウスモデルを作成し、ジヒドロアルテミシニンのIn vivoでの抗腫瘍効果を確認中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、当初の予定にしたがって、おおむね順調に進行している。

今後の研究の推進方策

本年度に得られた成果を踏まえて、今後は:1.犬組織球性肉腫細胞におけるトランスフェリン受容体発現量の定量および人為的にトランスフェリン受容体発現を抑制した場合のジヒドロアルテミシニンの細胞障害性に対する影響2.犬組織球性肉腫細胞移植担癌マウスモデルにおけるジヒドロアルテミシニンのIn vivo抗腫瘍効果の検証(継続)および生体内における血球貪食の有無とジヒドロアルテミシニンに対する感受性との関連性の検討3.犬におけるアルテミシニン誘導体投与量および投与経路の検討
を予定している。
1.では、犬組織球性肉腫がアルテミシニン誘導体に感受性を示す機序として、トランスフェリン受容体高発現および直接的赤血球貪食の2つが考えらえれているが、そのうちトランスフェリン受容体発現量が細胞のアルテミシニン感受性に与える影響について検証する。2.では、犬組織球性細胞株のうち、血球貪食性の低いもの(樹状細胞由来)および高いもの(マクロファージ由来)を用いて作成した担癌マウスモデルを用い、生体内におけるジヒドロアルテミシニンの抗腫瘍効果を検討するとともに、血球貪食量との関連を検討する。3.では、将来的な臨床応用を視野に入れ、正常犬におけるアルテミシニン誘導体の投与量、有害事象、および得られる血中濃度の測定を、HPLC/MS/MS法を用いて実施する。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の経費の節減の結果生じた使用残額12,515円については、細胞培養関係の消耗品の購入に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 犬組織球性肉腫の細胞内鉄量および鉄反応性薬剤ジヒドロアルテミシニンの細胞傷害効果の検討2013

    • 著者名/発表者名
      永田理沙、細谷謙次、星野有希、高木哲、奥村正裕
    • 学会等名
      日本比較薬理学・毒性学会
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
    • 年月日
      20130327-20130329

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公開日: 2014-07-24  

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