研究課題
若手研究(B)
本研究は、ウシラクトフェリン経口投与が、申請者が発見した新しいタイプの好中球機能不全症の犬における好中球機能を正常化させた点に焦点を当て、本好中球機能不全症のさらなる病態解明およびラクトフェリンの治療機序の解明・新規治療法の開発を目的とし、研究を進めている。平成24年度においては、本症例における好中球機能不全症の発症のさらなる病態解明を目標とした。本症例では、好中球における膜CD18レセプターの発現低下とそのタンパクをコードするβ2インテグリン遺伝子の発現低下が観察された。はじめに、これまで報告されているイヌβ2インテグリンmRNAの部分的配列について、健常犬数例および症例犬の好中球RNAについてシークエンスを試みた。その結果、報告のある部分配列において、症例犬では1つの塩基配列の変化が認められたが、アミノ酸変化を起こすものではなかった。また、類似した症状・病態を示す犬白血球粘着不全症ではイヌβ2インテグリンmRNAのミスセンス変異が症状を引き起こすことが知られているが、本症例犬では当該箇所には遺伝子変異が認められなかった。次に、検索した領域が部分的な配列であったため、プロモーター領域を含む未検討の遺伝子配列をさらに調べる必要が生じたため、健常犬数例における好中球β2インテグリンmRNAの全長の塩基配列の解析をRACE法により行った。現在、症例犬における解析を進めているところである。
3: やや遅れている
健常犬での好中球β2インテグリンmRNA遺伝子配列の全長決定に予想以上に時間を要したこと
症例犬RNAにおける好中球β2インテグリン全長の遺伝子解析を進めるとともに、プロモーターアッセイを実施する予定である。また、DNAを用い、イントロン部位における遺伝子解析も行いたいと考えている。本症例と類似した病態をとるβ2インテグリ欠損マウスを繁殖させ、好中球機能の評価を進めたいと考えている。
該当なし
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J. Vet. Med. Sci.
巻: 74 ページ: 1177-1183.
http://news7a1.atm.iwate-u.ac.jp/~naika/works/naika2_study.html#koutyuukyuu
http://news7a1.atm.iwate-u.ac.jp/cgi-bin/researcher_new/index.cgi?no=4