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2016 年度 実施状況報告書

新たな犬好中球機能不全症の病態解明と新しい治療法へのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 24780305
研究機関岩手大学

研究代表者

小林 沙織  岩手大学, 農学部, 助教 (60566214)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2018-03-31
キーワード好中球機能不全症 / 犬 / 慢性炎症 / 鉄欠乏性貧血 / ウシラクトフェリン
研究実績の概要

【具体的内容】好中球機能不全症を示した症例犬は当初、著しい非再生性貧血を呈していた。そこで、ウシラクトフェリン投与前後による貧血状態の推移の解析を試みた。その際、対象となる健常犬群、症例との血縁関係にある子犬群も併せて調べた。症例犬の初診時は、赤血球数、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度、血清鉄濃度、総鉄結合能が全て著しく減少していた。この結果と再発性の細菌感染の既往歴および現症を考慮すると、慢性炎症に伴う二次性の鉄欠乏性貧血であると考えられた。その後、症例犬に対するウシラクトフェリンの経口投与により、血清鉄濃度は2週間程度で、総鉄結合能は1か月程度で参照範囲内に回復し、赤血球数、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度も緩徐ではあるが確実に増加していることが明らかとなった。一方、健常犬における1か月間のウシラクトフェリン投与では、各項目に有意な変化は認められなかった。血縁子犬群にはいずれも健常子犬群と同様、貧血の項目に関して異常値は認められなかった。
【意義】ウシラクトフェリンの長期経口投与は、好中球機能の回復作用によって慢性炎症を調節し、血中の鉄分を補給する作用があることが推察され、慢性炎症に伴う鉄欠乏性貧血に対して臨床効果があることが明らかとなった点で非常に意義がある。
【重要性】これまで、鉄欠乏性貧血に対しては、胃腸障害が問題となっている鉄製剤投与の治療が行われているが、胃腸障害の副作用のないウシラクトフェリンという選択肢が増えたことが臨床現場にとって重要であると思われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

次世代シーケンスの利用を考えていたが、情報収集や技術面での検討に時間がかかり、実際に着手しようとした際に、解析時間に数か月を有することが分かり計画が遅れてしまったため。また、産休・育休復帰後に、予想以上に研究の時間が取れなかったことも要因として挙げられる。

今後の研究の推進方策

遺伝子解析について、研究技術の発展に伴って当初計画していなかった次世代シーケンスの利用を検討している。ただし、解析に数か月の時間を要することが予測されること、症例犬の死亡に伴って、保存されたDNA量が検査要件を満たすかが課題である。

次年度使用額が生じた理由

次世代シーケンス解析が年度末までに間に合わなかったため。

次年度使用額の使用計画

症例犬遺伝子における次世代シーケンスの解析費用に充当する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (3件)

  • [学会発表] 動物の遺伝病②イヌの好中球機能不全病2016

    • 著者名/発表者名
      小林沙織
    • 学会等名
      平成28年度岩手大学公開講座
    • 発表場所
      岩手大学(岩手県盛岡市)
    • 年月日
      2016-06-18 – 2016-06-18
  • [備考] イヌの先天性好中球機能不全症

    • URL

      http://news7a1.atm.iwate-u.ac.jp/~naika/works/naika2_study.html#koutyuukyuu

  • [備考] 小動物の免疫不全疾患における病態のメカニズムを解明し新規治療法を探る

    • URL

      http://news7a1.atm.iwate-u.ac.jp/cgi-bin/list/list.cgi?id=99

  • [備考] 人と伴侶動物がより幸せに暮らすために 病態を解明し、治療法を探る

    • URL

      http://news7a1.atm.iwate-u.ac.jp/research_topics/2012/003/index.html

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公開日: 2018-01-16  

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