研究課題/領域番号 |
24780307
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
西飯 直仁 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20508478)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 自己抗体 / 犬 / 内分泌疾患 |
研究概要 |
開業獣医師の協力を得て、甲状腺機能低下症10例、副腎皮質機能低下症5例、糖尿病10例の犬の血液サンプルを入手した。また研究室で飼育中の健康犬より採血し、正常対照とした。健康な犬1頭を安楽殺し、甲状腺、副腎、膵臓の組織を採取し、組織ホモジネートを作成した。ドットプロッティング法を用い、血液中の組織抗体の検索を行ったところ、甲状腺機能低下症の犬で明らかな組織抗体を検出した。現在のところ副腎皮質機能低下症および糖尿病の犬の血液サンプルでは明らかな組織抗体は検出されていない。次に甲状腺組織ホモジネートでSDS-PAGEを行い、メンブレンにブロッティングし、ウエスタンブロットを行った。1次抗体として甲状腺機能低下症の犬の血液サンプルを用い、甲状腺組織に対する抗体について解析を行った。正常対照の血液においても甲状腺組織に反応する抗体(IgG)が検出されたが、甲状腺機能低下症の犬において、正常対照では検出されないバンドがみられた。現在、このバンドについて詳細を解析中である。現在のSDS-PAGEの手法では、分子量の問題からサイログロブリンや甲状腺ホルモンに対する抗体を検出することができないため、ゲル濃度などを再検討中である。また1次抗体として血清を使用しているためウエスタンブロットの結果にバックグラウンドが高く、正確な定量が困難であるため、血清より総IgGを抽出して1次抗体とするなど、手法を改良するべく検討中である。甲状腺機能低下症の犬で確認された特異的バンドはこれまで標的抗原として報告されていない分子量の蛋白であり、今後の解析によって犬の甲状腺機能低下症における新たな標的抗原が明らかとなる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想に反して正常対照でも組織に対する自己抗体が明瞭に検出されたことから、疾患を持つ犬との比較が簡単でなかった。また集めた血液サンプルにおいて自己抗体が検出されない個体が多かった。
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今後の研究の推進方策 |
正常対照および疾患を持つ犬のサンプル数を増やし、詳細な比較を行うことで、副腎皮質機能低下症および糖尿病においても自己抗体が検出できないか解析を進める。また甲状腺機能低下症の犬においては検出された特異的抗体の標的抗原について蛋白質の同定を行うとともに、新規の診断法確立を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
ウエスタンブロット、ELISAおよび蛋白質同定のための試薬および消耗品購入を予定している。
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