研究課題
ES細胞(胚性幹細胞)とiPS細胞(人工多能性幹細胞)をネコで作製し、これらを血液細胞へ分化誘導させるために、本年度は以下の研究成果を得た。1.顕微授精からのネコES細胞株の樹立:本研究室で作製したネコ組換LIFを用いてネコ未成熟卵子を培養したとろ、成熟率が増加することが分かった。また、前年度までにネコ未成熟卵子と精巣上体精子を用いてピエゾマイクロマニピュレーターで顕微授精を行い、胚盤胞期胚を効率的に作製できることが確認されたため、本年度はより未成熟な精子細胞である精巣内精子および伸長精子細胞を用いた顕微授精を行った。その結果、これらの精子細胞を用いて胚盤胞期胚を作製することに成功した。2.ネコiPS細胞株の樹立:ネコ胎子線維芽細胞に遺伝子挿入のないセンダイウイルスベクターを用いてヒトOct3/4、Sox2、Klf4およびc-Mycの4 遺伝子を導入した。その後、ウシ胎子血清(FBS)添加ヒトES培地で培養したところ、初代コロニーが複数確認された。これらのコロニーのうち20継代以上維持が可能な細胞株が得られた。3.ネコiPS細胞から血液細胞への分化誘導:本研究室でレトロウイルスベクターを用いて樹立したネコiPS細胞株から、血液細胞への分化誘導を試みた。ネコiPS細胞を浮遊培養し、胚様の形態をした細胞塊(胚様体)を作製した。その後、エリスロポエチンなどの各種サイトカインを用いて培養したところ、コロニーアッセイ法において赤芽球性前駆細胞であるBFU-Eに形態が類似したコロニーが確認された。これらのコロニーから細胞を分離・染色し、形態的な確認を行ったところ、多くのマクロファージ様細胞と少量の赤芽球様細胞が観察された。以上のことから、作製したネコiPS細胞から血液細胞であるマクロファージおよび赤芽球へ分化することが示された。
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J Vet Med Sci.
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Vet Immunol Immunopathol
巻: 162 ページ: 59-64
10.1016/j.vetimm.2014.08.016.
巻: 76 ページ: 1513-1518