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2013 年度 実施状況報告書

平滑筋を基軸としたウシ第四胃変位発症機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24780316
研究機関日本獣医生命科学大学

研究代表者

田島 剛  日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教 (60508878)

キーワード第四胃変位 / 平滑筋 / 脂肪酸 / ラウリン酸 / ミリスチン酸 / エイコサペンタエン酸 / TLR4 / 一酸化窒素
研究概要

本研究では乳牛の第四胃変位発症の背景に存在する第四胃運動機能障害について、第四胃平滑筋の収縮機構がどのように破綻しているかを明らかにすること、またその破綻への脂肪酸の関与を明らかにすることを目的としている。
昨年度の知見に加え、ラウリン酸による平滑筋運動障害がTLR4を介していることを、TLR4競合阻害薬およびNF-kB阻害薬を用いてより明確に証明した。加えて、条件設定の過程において、これまで中鎖脂肪酸を24時間処置していたが、4時間処置後にラウリン酸だけでなくミリスチン酸もTLR4を介した収縮力低下に関与することを見いだした。このことから病態の初期では複数の中鎖脂肪酸が第四胃平滑筋に対してTLR4シグナルを送りうる可能性が考えられた。さらに、第四胃変位発症牛の第四胃組織中でホルモン感受性リパーゼの発現の増加と、含有脂肪量の顕著な低下が認められたことから、これらの中鎖脂肪酸は第四胃組織で局所的に増加している可能性も考えられた。
次にω-3脂肪酸の低下が平滑筋弛緩の原因のひとつとなり得ることを証明するため、ラウリン酸あるいはLPS曝露による平滑筋収縮力の低下がω-3脂肪酸の前処置によって回復するか検討した。その結果、エイコサペンタエン酸(EPA)処置により収縮力の低下が緩和されたことから、ウシ第四胃においてEPAがTLR4シグナルの緩衝となりうることが示唆され、第四胃発症牛では血中での低EPAがアトニーを誘発する原因のひとつとなっていると考えられた。
さらに、第四胃変位発症牛における血中ラウリン酸濃度の定量を昨年度より継続して実施した。今年度はGCによる定量を試みたが、検討した条件下ではラウリン酸量が検出限界に至らなかったため、LC/MS/MS(マルチカラム)をによる定量を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

血中のラウリン酸量の定量がまだ完了できていない点をまだ解決できていない。リピドーム解析を行っている東京大学農学生命科学研究科の村田幸久准教授の協力を仰ぎ、日本食品分析センターの協力のもと、より高感度の解析方法を検討している。
一方で、エイコサペンタエン酸による「収縮保護作用」が証明できたのは評価できると考える。
現在第四胃平滑筋に対するラウリン酸およびミリスチン酸を介する収縮抑制にTLR4が関与するという内容で論文を投稿している(JVMS受審中)他、EPAによる収縮保護作用についても投稿準備をしている。

今後の研究の推進方策

今年度は最終年度であることを鑑み、血中脂肪酸量の定量を7月をめどに完了させる。また、第四胃組織中のTLR4受容体発現を組織学的に検討し、どの部位で中鎖脂肪酸によるシグナルを受容しているか、またそこからどのようなシグナルに変換されて平滑筋の弛緩が起こるのかを検討する。
これらをもって年内には第四胃変位発症メカニズムにおける脂肪酸の役割を解明したいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

ラウリン酸定量が当初計画より遅れ、サンプル全てを用いた本格的な測定を実施しておらず、経費が少なくなったため。
外部業者(日本食品分析センター)に定量を委託する。

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公開日: 2015-05-28  

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