本研究では乳牛の第四胃変位発症の背景に存在する第四胃運動機能障害の発症機構を明らかにするため、中鎖脂肪酸が第四胃平滑筋収縮を抑制するという仮説のもと、その証明と病態治療への応用をめざして研究を遂行した。その結果、1)第四胃変位罹患牛では脂肪蓄積器官である第四胃で中鎖脂肪酸が局所的に増加する 2)中鎖脂肪酸は消化管常在型マクロファージのTLR4を介しiNOS発現を誘導してNOを産生し、第四胃運動を抑制する 3)第四胃変位罹患牛ではTLR4シグナルを抑制するエイコサペンタエン酸の血中含有量が減少している ことを明らかにした。本研究は第四胃変位の発症機序解明と新たな診断法開発に役立つものである。
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