研究課題/領域番号 |
24780319
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中平 賢吾 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70596585)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 土着天敵 / 保護利用 / 天敵昆虫 / 生物的防除 / 雑食性 / 分子生態 / バンカープラント / 環境保全型農業 |
研究概要 |
研究期間全体を通して、雑食性天敵の個体群維持における植物性餌と植物性餌間の相対的な栄養の重要性を明らかにし、さらに植物性餌と動物性餌間の相対的な栄養の重要性も明らかにしようとしている。また、野外での両餌への相対的依存実態を解明し、圃場への植物性餌の追加による雑食性天敵個体群の保護効果に関しても判定しようとしている。これらの成果を通して、最終的には、ナス圃場内の植生管理により、雑食性天敵クロヒョウタンカスミカメの個体群を安定的かつ省力的に保護することで、侵入害虫タバココナジラミをうまく防除する方法を提案することを目指している。初年度である平成24年度においては、研究材料である雑食性天敵のクロヒョウタンカスミカメを冷凍のスジコナマダラメイガ卵を用いることで増殖し、安定的に実験を行う体制と、実験に用いるナスなどの植物を実験室内で衛生的に栽培する体制を維持した。また、1.複数の植物性の餌を、動物性の餌に加えて食べることで、個体群維持効果を向上させるのか、2. 植物の栄養的価値を評価し、適応的に行動できるのか、3.栄養価値のある植物のナス圃場への追加により、効果的に天敵個体群を保護できるのかの3項目について、予定していた飼育観察と行動観察、PCR判定、野外効果判定に関して、それぞれ並行して本実験ならびに予備実験、実験準備を行った。これらの研究成果に関しては、平成25年度に開催される国内外の学会において、研究発表を行い、国際誌への投稿を目指した執筆活動も開始する予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度である平成24年度においては、研究材料である雑食性天敵のクロヒョウタンカスミカメを冷凍のスジコナマダラメイガ卵を用いることで増殖し、安定的に実験を行う体制と、実験に用いるナスなどの植物を実験室内で衛生的に栽培する体制を維持することができた。さらに、実験に用いる圃場の整備も合わせて行い、実験準備に関しては順調に進捗した。飼育観察に関しては、比較的順調にデータを得ることができた。しかし、行動観察に関しては、複数回の予備実験を通しても、植物依存的な行動が観察されなかった。PCR判定に関しては、比較的順調にサンプルを得ることができ、PCRも行うことができた。野外効果判定に関しては、荒れていた圃場を整備するのに時間がかかり、植物定植の時期を逃してしまい、実験準備だけとなった。以上より、総合的に考えると、平成24年度はやや遅れていると自己評価できる。しかし、平成25年度計画も合わせた全体計画としては、本年度の遅れを取り戻し、当初計画すべてを完了できると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においても、研究材料である雑食性天敵のクロヒョウタンカスミカメを冷凍のスジコナマダラメイガ卵を用いることで増殖し、安定的に実験を行う体制と、実験に用いるナスなどの植物を実験室内で衛生的に栽培する体制を維持する。また、1.複数の植物性の餌を、動物性の餌に加えて食べることで、個体群維持効果を向上させるのか、2. 植物の栄養的価値を評価し、適応的に行動できるのか、3.栄養価値のある植物のナス圃場への追加により、効果的に天敵個体群を保護できるのかの3項目について、飼育観察ならびに行動観察、PCR判定、野外効果判定を継続して行う。行動実験に関しては、観察方法や条件設定を変更するなどして、植物依存を検出できるように工夫する。また、野外効果判定に関しては、植物の栽培時期を考慮し、計画的に着手する。平成24年度の研究成果に関しては、平成25年度に開催される国内外の学会において、研究発表を行う。また、国際誌への投稿を目指した執筆活動も開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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