研究課題
カメムシ亜目カスミカメムシ科に属するクロヒョウタンカスミカメは、タバココナジラミやハダニ類、アブラムシ類、アザミウマ類、コナカイガラムシ類などの多岐にわたる農業上の重要害虫を捕食し、さらにピーマンなどの植物を吸汁する雑食性天敵であることが分かっている。このような雑食性天敵は、植物餌を利用しない捕食性の天敵よりも、圃場内の植生に直接的に影響されると考えられる。本研究では、クロヒョウタンカスミカメを対象に、動物餌のみならず植物餌も組み合わせて与えた場合の発育と生存を調べた。その結果、インゲンマメ葉とナス葉を植物餌としてそれぞれ単独で与えた場合は、孵化後数日で供試した個体すべてが死亡することが分かった。一方で、インゲンマメ葉に動物餌としてスジコナマダラメイガ卵を与えた場合は、供試した個体の内、70%以上の個体が成虫まで到達することが分かった。次に、前実験と同様に、クロヒョウタンカスミカメを用いて、インゲンマメとピーマンの植物餌のみ、もしくはこれら植物餌と動物餌としてスジコナマダラメイガ卵を組み合わせて与えた場合の定位行動を調べた。その結果、2種の植物餌のみの場合は、ピーマンよりもインゲンマメにやや多くの個体が定位することが分かった。また、インゲンマメとピーマンどちらか一方に動物餌としてスジコナマダラメイガ卵を与えた場合は、動物餌を与えた方により多くの個体が定位することが分かった。以上などの結果から、雑食性天敵クロヒョウタンカスミカメは動物餌に強く依存しているが、その定位は植物餌の種類にも影響されることが分かった。
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Journal of the Faculty of Agriculture, Kyushu University
巻: 58 ページ: 277-280
http://ci.nii.ac.jp/naid/120005326652/