研究課題/領域番号 |
24780334
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
新屋 友規 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (80514207)
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キーワード | キチン / シロイヌナズナ / 受容体 / 植物免疫 / シグナル伝達 |
研究概要 |
植物は真菌細胞壁に含まれるキチンを認識し、植物免疫を活性化する。この認識に関わる分子として2種類の膜受容体(CEBiP型分子とCERK1型分子)が関与することが報告されている。平成24年度の研究により、イネがキチン認識系においてCEBiP/OsCERK1の2種の受容体を必要とするに対して、シロイヌナズナのCEBiP型分子はキチン応答に関与せず、CERK1が単独で受容体として機能する可能性を示した。平成25年度はシロイヌナズナCEBiP(LYM2)が何らかの機能を有するか明らかにするために、キチン応答性解析に加えて抵抗性への寄与について解析を行った。真菌に対する抵抗性試験を行ったところ、シロイヌナズナCEBiP欠損変異体では、野生型と比較して病斑形成が促進されたことから、シロイヌナズナCEBiPは抵抗性に関わる何らかの機能を有していることが示唆された。 一方でキチン受容体下流のシグナル伝達機構について解析を行った。イネキチン受容体OsCERK1直下で機能する受容体様細胞質キナーゼOsRLCK185が既に報告されており、本研究ではOsRLCK185のシロイヌナズナのホモログである受容体様細胞質キナーゼPBL27に着目して解析を行った。その結果、PBL27はOsRLCK185と同様にシロイヌナズナキチン受容体CERK1の直下でキチンシグナル伝達に寄与していることが明らかになった。さらにPBL27の植物免疫シグナルに関する機能解析を進めたところ、PBL27はキチンシグナリングには寄与するが、フラジェリン受容体FLS2を介したシグナリングへの関与は限られていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主要な目的である「シロイヌナズナおよびイネにおけるキチン受容体の機能解析」を行い、2つの植物間においてキチン認識機構の共通性や差異を見出した。また、受容体直下のシグナル伝達機構について受容体様細胞質キナーゼに着目し、シロイヌナズナにおいて機能解析を行い、既に報告されているイネの結果と比較することで新たな知見を得た。以上のように本研究課題はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きキチン受容体下流のシグナル伝達系の解析を行う。またCERK1型分子の機能解析に向けた実験系の構築および機能解析を試みる。得られた成果を関連する国内および国際学会において発表するとともに、学術雑誌への投稿により研究成果を発信する。
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次年度の研究費の使用計画 |
課題の一部を次年度に行うこととなったが、研究課題全体としておおむね順調に進展しており、次年度も使用計画に従い研究を推進する。 キチン受容体下流のシグナル伝達系の解析およびCERK1型分子の機能解析に必要な試薬・分子生物学試薬および消耗品の購入に使用する。研究成果の発表のため国内および国際学会へ参加するため、また研究打ち合わせを行うための旅費を手当てする。
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