研究課題
植物は真菌細胞壁に含まれるキチンを異物として認識し、植物免疫を活性化する。この認識に関わる植物側の分子として2種類の膜受容体(CEBiP型分子とCERK1型分子)が関与することが報告されている。平成25年度より引き続き、キチン受容体の直下で機能する受容体様細胞質キナーゼについて解析を行った。既に報告があった、イネキチン受容体OsCERK1直下で機能する受容体様細胞質キナーゼOsRLCK185のホモログであるPBL27に着目して解析を行った。その結果、PBL27はOsRLCK185と同様にシロイヌナズナキチン受容体CERK1の直下でキチンシグナル伝達に寄与していることを明らかにした。さらにPBL27の機能解析として、他のエリシターへの関与や、PBL27自体の分子特性解析を行った。一方でバクテリア由来の代表的なMAMPであるフラジェリン認識に関与する受容体複合体の構成因子に着目し、PBL27との関係についても解析した。以上のようなキチン受容体直下の受容体様細胞質キナーゼの解析を行った成果について、国際学会において発表するとともに、学術雑誌に発表した。さらにキチン受容体下流のシグナル伝達系の解析として、イネにおいて、キチンによって活性化される植物免疫応答に関与する植物ホルモンに着目して解析を行った。既に、イネにおいてはジャスモン酸シグナル伝達系のキチンシグナリングへの関与が知られているが、ある種の二次代謝物蓄積に関わるキチンシグナル伝達系の解析を行ったところ、関与する植物ホルモンシグナルに関して新しい知見を得た。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)
Plant J
巻: 79 ページ: 56-66
10.1111/tpj.12535