ヒト癌細胞株39系に対して、他の抗がん剤と比較し特異な増殖阻害活性を有することが報告されているペプチド系天然物ヤクアミドAの全合成研究を行った。その全合成には不飽和アミノ酸部位をE/Z選択的に合成する必要があったが、本研究において銅触媒を用いる不飽和アミノ酸部位の合成法、さらに不飽和アミノ酸部位のE/Z異性化を抑制したペプチド鎖伸長法が開発され、ヤクアミドAの世界初の全合成が達成された。またStaudingerライゲーションを用いる不飽和アミノ酸部位の効率的合成法の開発も行い、今後本法を用いてヤクアミド類合成の更なる効率化が可能となると期待される。
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