研究概要 |
1、環上エキソジメチレンを活用したDiels-Alder反応によるビシクロ[m.4.0]骨格(m=6,7)の構築 中員環を含む多環式骨格の効率的構築法の開発は今なお重要な課題である.これまでに簡便に合成可能であることを見出している中員環(8,9員環)トリエンの環上エキソジメチレンがDiels-Alder反応のジエン体として機能することを実証すべく検討を行った.その結果,種々の電子求引性基を有する三重結合成分との加熱による環化が可能であることを見出し,ビシク ロ[6.4.0]、[7.4.0]誘導体を収率よく得られることを明らかにした.更に,Lewis酸共存下では,ジアゾやアルデヒド、ケトンなどのヘテロ原子を含む多重結合成分を求ジエン体としたヘテロDiels-Alder反応が進行し,ヘテロビシクロ[m.4.0]誘導体(m=6,7)の合成が可能であることも見出した. 2、アルケン-アレニルシクロプロパンを用いた高ジアステレオ選択的環化反応 遷移金属触媒を利用した新規環化反応の開発は,従来法では困難な閉環体の合成を可能にする.アルケンーアレニルシクロプロパンをロジウム触媒と処理したところ,これまでにない環化反応が進行し,ビシクロ[4.3.0]誘導体が高ジアステレオ選択的に得られた.そこで,種々の基質を用いて検討したところ,本反応の適用限界を見出すに至った.また興味深いことに,反応部位の二重結合の位置を変更した場合にも,二重結合の異性化と目的の環化が進行し,同様のニ環性化合物が高立体選択的に得られることも明らかにした.
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