研究課題/領域番号 |
24790015
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
多田 教浩 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (20468234)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 光酸素酸化 / 増感剤 / 可視光 / 分子状酸素 |
研究概要 |
我々は究極の酸化剤である分子状酸素、クリーンなエネルギーである光、日本で豊富に生産されている資源であるヨウ素触媒を用いる光酸素酸化条件でのオキソカルボン酸からオキソラクトンへの酸化的ラクトン化反応を見出している。一方、フェニルアラニンから誘導した有機分子触媒であるアミノスルホンアミド触媒を用いた不斉アルドール反応を見出すことにも成功している。そこで本研究では、不斉有機分子触媒を光酸素酸化条件と共存させることで、光酸素酸化的不斉環化反応を開発すべく検討を行い以下のような結果を得た。1.触媒量のヨウ素源を用いる光酸素酸化的オキシラクトン化反応がキラル有機分子触媒存在下でも進行することが明らかとなった。2.不斉有機分子触媒が存在しない条件では高圧水銀ランプの使用が必要であったが、有機分子触媒存在下では汎用の蛍光灯を用いても高圧水銀ランプと同程度の収率で進行することが分かった。3.不斉有機分子触媒が存在しない条件ではTHFを溶媒として用いる必要があったが、有機分子触媒存在下ではMeCNを用いても同程度の収率で進行することが分かった。4.本反応での光源の有効波長を検討したところ、本反応は546 nmより長波長で進行し、490 nmより短波長では進行しないことが明らかとなった。5.様々な有機分子触媒を用いて検討を行い、ジアミノマロノニトリルを骨格として有する有機分子触媒を用いることで、わずかな光学収率ではあるが光酸素酸化条件でオキソラクトンを合成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、様々な光源、ヨウ素触媒、不斉有機分子触媒、溶媒を用いて検討を行うことで、低い光学収率ではあるものの、究極の酸化剤である分子状酸素、クリーンなエネルギーである光を用いる光酸素酸化条件でのオキソカルボン酸からオキソラクトンへの不斉酸化的ラクトン化反応が進行することを見出した。また本反応に有効な波長を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
低い光学収率ではあるものの、光酸素酸化条件でのオキソカルボン酸からオキソラクトンへの不斉酸化的ラクトン化反応が進行することを見出すことができたため、現在最も光学収率が高いジアミノマロノニトリルを骨格として有する有機分子触媒での条件を基に、さらに本反応に有効な有機分子触媒を検討する。有効な有機分子触媒を見出した後に光源や添加剤や溶媒等の綿密な条件検討を行うことで、高い光学収率での光酸素酸化的ラクトン化反応を実現する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ほぼ計画的に使用できており、当初の計画通り使用する予定である。
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