研究課題/領域番号 |
24790015
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
多田 教浩 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (20468234)
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キーワード | 光酸素酸化 / 増感剤 / 可視光 / 分子状酸素 |
研究概要 |
環境に優しい化学が求められる現在、空気や水に安定、取り扱いが容易、環境負荷が小さい、金属の混入が起こらないなどの特徴から、有機分子触媒の開発と、それらを用いた多くの反応の開発が行われている。しかしながら、有機分子触媒を用いる反応の多様性は金属触媒に比べ限定的であり、様々な酸化条件下で有機分子触媒を有効利用できれば、有機分子触媒を用いる新規反応の開発が可能となる。一方我々は、ヨウ素触媒に究極の酸化剤である分子状酸素とクリーンなエネルギーである光を組み合わせて用いることで、オキソカルボン酸からオキソラクトンへの酸化的ラクトン化反応を実現している。そこで、本光酸素酸化反応と有機分子触媒を組み合わせることで、酸化的不斉ラクトン化反応を実現すべく検討を行い以下のような結果を得た。1.プロリン触媒、マクミラン触媒、アミノチオウレア型触媒等のアミン触媒を用い、マクミラン触媒を用いることで低不斉収率ながら不斉が誘起されることを明らかにした。2.新規触媒であるアミノスルホンアミド触媒、アミノジアミノメチレンマロノニトリル触媒を開発し、アミノジアミノメチレンマロノニトリル触媒を用いても不斉ラクトン化反応が進行することを見出した。3.キラルリン酸触媒を用いて検討を行い、キラルリン酸触媒もアミン系触媒と同様に不斉を誘起することを見出した。4.基質検討を行い、本反応条件で3級不斉中心の不斉誘起は可能であるが、4級不斉中心の構築は困難であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々な光源、ヨウ素触媒、不斉有機分子触媒、溶媒を用いて検討を行うことで、数種類の有機分子触媒により低い光学収率ではあるものの、究極の酸化剤である分子状酸素、クリーンなエネルギーである光を用いる光酸素酸化条件での、オキソカルボン酸からオキソラクトンへの酸化的不斉ラクトン化反応が進行することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
数種類の有機分子触媒を用いることで、光酸素酸化条件での酸化的不斉ラクトン化反応が低い光学収率ではあるものの進行することを見出せた。そこで、これらの有機分子触媒を参考に、さらに本反応に有効な新規有機分子触媒の合成を行う。また、ヨウ素源としてN-ヨードスクシンイミドに代表される有機ヨウ化物を用いることで、有機分子触媒によるヨウ素化の立体選択制をより確実に制御することで不斉収率の向上をはかる。
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