鉄触媒は安価で安全な試薬であるため、その潜在的機能性探索は、有機合成化学において極めて重要である。汎用性試薬であるシリル系試薬と組み合わせることで、①ヘテロ環の開裂を伴った官能基化、②シリルオキシ基ならびにメトキシ基を脱離基として利用した新規反応を開発した。前者では、安定テトラヒドロフラン環やオキサノルボルナジエン誘導体の鉄触媒的炭素―酸素結合部の開裂を伴った官能基化を達成し、創薬における有用な基盤反応を開発した。また、後者では一般に脱離能が低いシリルオキシ基やメトキシ基を鉄触媒的に効率的に脱離させ様々な骨格合成へと展開した。これはコストや工程数削減に直結するため利用価値が高い。
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