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2013 年度 実施状況報告書

ELISA法を基盤とする微量かつ有効カテキンの高感度分析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24790017
研究機関静岡県立大学

研究代表者

浅川 倫宏  静岡県立大学, 薬学部, 助教 (80571257)

キーワードテアフラビン / EGCg / プローブ化 / メチル化カテキン
研究概要

24年度に開発したテアフラビン合成法を用いて、種々のベンゾトロポロン骨格を有する類縁体を合成した。まず、カテキンに対し、ホウ酸存在下 NsCl と反応させることで A 環部フェノール性水酸基を選択的に Ns 保護した。続いて 四酢酸鉛による酸化でオルトキノン とした後、ピロガロール骨格を持つ種々の化合物 とカップリングし、ベンゾトロポロン誘導体を合成した。また、アミノペンチル基を有するAPDOEGCg(アミノペンチルデオキシEGCg)と本酸化的カップリングを行い、脱保護を経てアミノペンチル基を有するAPDOTF(アミノペンチルデオキシテアフラビン)を合成した。
一方、メチル化APDOEGCgの作製した。まず、既に我々が開発した方法にてAPDOEGC(アミノペンチルデオキシEGC)を合成した。即ち、Julia-Kocienski 反応により合成したオレフィンに対して、鈴木-宮浦反応による側鎖を伸長、 Ns アミドとの光延反応を利用して窒素原子を導入した。さらに AD-mix-β を用いて合成した光学活性なジオール へガロイル基を導入した後に cis-ジヒドロピラン環を構築した。続いて、3-及び4-メチル化没食子酸を合成した。没食子酸エステルに 炭酸ナトリウム存在下ヨウ化メチルを作用させ、最も反応性の高い4位選択的にメチル基を導入した。一方、ホウ酸存在下、カテコールのホウ酸エステルの架橋中間体を経由する3位選択的なメチル化により3-メチル化体を合成した。これらメチル基を導入した没食子酸の2つフェノール水酸基をNs基にて保護した後、カルボン酸へと変換した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、テアフラビン誘導体を多数合成するなど、多くの新規化合物の合成がなされた。これにより、テアフラビンの作用が、類縁体の生物活性試験により検討され、新たな機能発見につながると期待される。また、APDOTFの合成法を確立したため、今後更なる量的供給を達成し、抗体作成に利用できる十分量を確保できる。
メチル化EGCGのプローブ分子作製のために、APDOEGCgの合成も進行し、目的の化合物が十分量得られた。
更にAPDOEGCgは光学活性体として得られており、これ自身も免疫原として用いるべくキャリアタンパク質に結合させ、抗体作成が可能である。
また、位置選択的にメチル基が導入されたAPDOMeEGCgを作製するために、メチル化没食子酸の選択的合成にも成功した。3位または4位のフェノール性水酸基にメチル基が導入されており、グラムスケールで合成できた。メチル化APDOEGCgの合成に必要なユニットをそろえることが出来た。天然にはガロイル基3または4位にメチル基の導入されたEGCg誘導体が発見されており、本実験結果はそれらの抗体作成を可能とするに有効であると期待される。

今後の研究の推進方策

26年度では、メチル化APDOEGCgの合成を行うため、APDOEGCgのガロイル基の除去を検討する。即ち、没食子酸部位をアルカリ性条件下、または加水分解酵素(タンナーゼ)によりエステルを分解し、その後に、各種メチル化没食子酸と縮合することにより、目的のプローブ前駆体を得る。またキャリアタンパク質とのグルタルアルデヒドを介した結合を検討し、抗体の作製に必要な免疫原を作製する。
前年度より合成してきたアミノペンチル基を有するEGCg、テアフラビン、メチル化EGCg誘導体を用いてキャリアタンパク質との結合を行う。即ち、無保護のアミノ基に対し、グルタルアルデヒドを用いてキャリアタンパク質となるHSA(ヒト血清アルブミン)やKLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)と結合させる。作製した免疫原は、共同研究者により、抗体の作製を依頼する。選択性の高い抗体を選別し、抗原-抗体反応を各種カテキン化合物類縁体を用いて確認する。
最後に、市販のさまざまな緑茶や茶飲料に対し、活性試験を行うことで定性、定量試験への応用を検討する。

次年度の研究費の使用計画

当初25年度内にて予定していたメチル化カテキンの合成において、所蔵の試薬を利用した結果計画の化合物が予定通り作製できた。それにより、試薬類の支出が抑えられた。しかしながら、26年度は、合成した化合物の評価や精製に高価なHPLC用キラルカラムを高遠敷する必要がある。更に、消費税率の上昇があったため、充分な設備を導入するために次年度へと繰り越すこととした。
26年度内に、HPLC用キラルカラムの購入費として全額を充てる。
HPLC用カラム(ダイセル社製):CHIRALCEL®OD-H 180,000円
ガードカートリッジ:32,000円

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Use of positron emission tomography for real-time imaging of biodistribution of green tea catechin2014

    • 著者名/発表者名
      Kosuke Shimizu, Tomohiro Asakawa, Norihiro Harada, Dai Fukumoto, Hideo Tsukada, Tomohiro Asai, Shizuo Yamada, Toshiyuki Kan, and Naoto Oku
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 9 ページ: e85520

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0085520

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Chemical synthesis of tea polyphenols and related compounds2013

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Asakawa, Yoshitaka Hamashima, Toshiyuki Kan
    • 雑誌名

      Current Pharmaceutical Design

      巻: 19 ページ: 6207-6217

    • DOI

      10.2174/1381612811319340012

    • 査読あり
  • [学会発表] フラボンおよびフラバノンの合成研究2013

    • 著者名/発表者名
      塚口雄太,飛坐愛輝,小川貴大,赤石樹泰,阿部和穂,稲井 誠,浅川倫宏,濱島義隆,菅 敏幸
    • 学会等名
      日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部合同学術大会
    • 発表場所
      三重
    • 年月日
      20131110-20131110
  • [学会発表] Synthetic studies of tea polyphenols and its probes2013

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Kawabe, Atsushi Yoshida, Makoto Inai, Tomohiro Asakawa, Yoshitaka Hamashima, Toshiyuki Kan
    • 学会等名
      The 5th International Conference on O-CHA (Tea) Culture and Science
    • 発表場所
      静岡
    • 年月日
      20131108-20131108
  • [学会発表] Synthetic studies of tea polyphenols and its probes2013

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Kawabe, Atsushi Yoshida, Makoto Inai, Tomohiro Asakawa, Yoshitaka Hamashima, Toshiyuki Kan
    • 学会等名
      第18回静岡健康・長寿学術フォーラム
    • 発表場所
      静岡
    • 年月日
      20131101-20131101
  • [学会発表] フラボンおよびフラバノンの合成研究2013

    • 著者名/発表者名
      塚口雄太,飛坐愛輝,小川貴大,赤石樹泰,阿部和穂,稲井 誠,浅川倫宏,濱島義隆,菅 敏幸
    • 学会等名
      第30回有機合成化学セミナー
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20130918-20130918
  • [図書] 月刊化学2014

    • 著者名/発表者名
      菅 敏幸、浅川倫宏、奥 直人、清水広介、山田静雄、原田典弘、塚田秀夫
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      化学同人
  • [図書] 新版 茶の機能2013

    • 著者名/発表者名
      菅 敏幸,浅川倫宏,奥 直人,塚田秀夫
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      農山漁村文化協会

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公開日: 2015-05-28  

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