研究課題
ワクチンの添加剤として免疫能を高めるワクチンアジュバントが注目され,その開発が必要不可欠となっている。これまでその実用化に向けた研究が行われているが臨床に適用できる化合物は見いだされていない。生薬オンジから得られる桂皮酸含有サポニンは,強いアジュバント活性を示すが、精製、全合成が困難である。サポニンに含まれる桂皮酸は活性発現への関与が示唆されているが、桂皮酸含有のサポニンの合成例は報告例がない。そこで本研究では桂皮酸含有サポニンの合成法の確立を行い、植物成分由来のアジュバントの創製を目指した。モデル実験を含む各種検討の結果、糖部分の保護基を位置選択的に制御することに成功した。またその後のグリコシル化においてマイクロフローリアクターの使用により,桂皮酸含有オレアノール酸型サポニンの合成を達成した。さらに、本反応を応用して、各種の糖部位を変えたオレアノール酸型サポニン誘導体を合成した。アジュバント活性を発現するオンジサポニンに共通する構造であるテヌイフォリンは、前出のオレアノール酸より多官能基化され糖受容体として配糖化は容易で無かった。そこでテヌイフォリンを糖受容体とした配糖化をマイクロフローリアクター用いて実施した。その結果、テヌイフォリンC28位配糖体の合成に成功した。以上の様にマイクロフローリアクターの利用により、各種トリテルペン化合物からの新しい供給方法を確立することができた。今後、合成した各種誘導体のアジュバント活性の測定を検討する予定である。
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Organic Letters
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Journal of the American Chemical Society
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