平成25年度は、α-Galactocylceramide (GC)搭載ナノ粒子(GC-NP)の抗腫瘍活性評価並びに免疫応答誘導機構の解明を行った。 抗腫瘍活性評価のモデルとして、マウスメラノーマの肺転移モデルを用いた。ルシフェラーゼを発現しているB16-F10メラノーマ細胞をマウス尾静脈から投与し、4日後に5μgのGCを含むGC-NPを尾静脈から投与した。メラノーマ細胞投与19日後に肺を回収し、抗腫瘍活性を評価した。その結果、未処理群やナノ粒子化していないGC投与群と比較して、GC-NP投与群において明らかな転移巣の減少が認められた。またルシフェラーゼ活性を測定することで、定量的に抗腫瘍活性を評価した結果、65%以上の転移抑制効果が認められた。 GC-NPの抗腫瘍活性誘導機構の評価として、GC-NP投与後の抗原提示細胞におけるCD1dへのGC抗原提示とナチュラルキラーT(NKT)細胞の増殖をフローサイトメーターを用いて調べた。その結果、未処理群やナノ粒子化していないGC投与群と比較して、GC-NP投与群の抗原提示細胞へのGC抗原提示は3.4倍上昇した。またNKT細胞の割合は、GC-NPを投与することで5.7倍上昇した。このことから、GC-NPは、GCを効率よく抗原提示細胞へ送達し、GC抗原提示を促進することで、NKT細胞を活性化し、抗腫瘍活性を誘起していることが示唆された。 以上のことから、平成24年度に最適化したGC-NPは、従来のGCのみの投与では不可能であった抗腫瘍活性を実現し、GCのデリバリーシステムとして有用であることが示された。
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