平成24年度は①PDGF結合蛍光分子の作成とin vitroアッセイ②下肢虚血モデルマウスを用いたPDGF蛍光粒子の動態とPDGFR分布の生体内解析を行う予定であった。 ①の予備実験として、PDGFタンパク質の一部のアミノ基のビオチン化を行い、それと蛍光が高輝度で、かつ定量評価可能なアビジン化量子ドットを結合させたPDGF蛍光粒子を作成した。これをPDGFR無発現、低発現、強発現細胞に投与して蛍光量の定量分析を行ったところ対照群に比して約5倍程度の有意な結合能の差を見出した。現在遺伝子工学的手法を用いたより反応性の高いPDGF蛍光粒子複合体を開発中である。 ②に関しては、下肢虚血モデルマウスの質を更に高めることから始めた。血管処理後、約2ヶ月フォローし、レーザードップラーによる血流測定に加え高解像度のCTを用いて血管増生の仮定をより定量的に捉える方針とした。レーザードップラーでは先行研究と同様安定した結果が得られ、高解像度CTの撮影条件が固まった。その条件下では、対照肢に比べ、虚血誘導直後では有意に血管の密度が低下している像が捉えられており、さらに経時的に新生血管が増成しているという結果が得られている。生体内のPDGF蛍光粒子の分布と生体内分布の解析については、予備的に前述のPDGF蛍光粒子を投与してイメージングを行い、虚血を誘導してから一ヶ月程でPDGF蛍光粒子の分布に不均一性が出現することが捉えられている。
|