FITC修飾ウシ血清アルブミン(FITC-BSA)を炭酸カルシウム粒子に封入した。その粒子上にPSS/PEI交互累積膜を調製した後に、TEMPO修飾PAAおよびPEIを用いて(PEI/PSS)2(PEI/TEMPO-PAA)4交互累積膜を調製した。さらにEDTAで処理を行うことで、炭酸カルシウム粒子を除去して、目的のFITC-BSAを封入した電気応答ミクロカプセルの作製を試みた。作製したミクロカプセルの確認は、蛍光顕微鏡および走査型電子顕微鏡で行った。その結果、およそ5-10マイクロメートルのミクロカプセルが観察された。さらに、ミクロカプセル内部にFITC-BSAと考えられる蛍光が観察されたことからFITC-BSA封入した電気応答ミクロカプセルの作製が確認された。 次に、作製したミクロカプセルの電極表面の固定化および電気応答による放出を試みた。固定化および放出の確認は水晶振動子ミクロバランス法を用いて行った。水晶振動子上にPEIを被覆した後に、ミクロカプセル溶液で処理を行ったところ、およそ35 ng程度のミクロカプセルの固定化が確認された。ミクロカプセルを固定化した水晶振動子に+0.7 Vの電位を印加するとほぼすべてのミクロカプセルが溶出することがわかった。また、放出されたミクロカプセルのFITC-BSAの蛍光を調べることで放出量について評価した。電位の印加の有無による蛍光強度を比較すると電位の印加によって520 nm付近のピークの増加することがわかった。この結果から、FITC-BSAが放出されていることが示唆された。
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