研究課題/領域番号 |
24790041
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
東 顕二郎 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (40451760)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | suspended state NMR法 / In situ測定 / 固体分散体 / 過飽和溶液 / 分子間相互作用 / NOESY / メフェナム酸 / Eudragit |
研究概要 |
本研究では、「水分散直後からの固体試料の変化を時間経過毎に評価可能な新規in situ suspended state NMR法を開発する」ことで、これまでに報告がほぼ皆無である「薬物-ポリマー固体分散体の水分散後からの薬物過飽和状態形成~薬物結晶化過程をreal timeで評価する」ものである。 本年度はin situ測定の前検討として、固体分散体から得られる長時間安定な過飽和溶液についてsuspended state NMR測定を行った。モデル試料には難水溶性薬物としてメフェナム酸、水溶性ポリマーとしてEudragitを用いた。混合粉砕によりメフェナム酸-Eudragit固体分散体を調製した。固体分散体の形成は粉末X線回折測定、熱分析、IR測定により確認した。この固体分散体を水に分散して得られた過飽和溶液について、suspended state NMR測定を行った。各種検討結果より、過飽和溶液の評価に最適なsuspended state NMR測定条件(回転数、パルスシークエンス、温度、過飽和溶液の濃度)を設定した。Suspended state NMR法を用いて1H-NMR測定を行った結果、通常の溶液スペクトルと比較してsuspended stateスペクトルではピークが顕著に先鋭化するのが観察された。このピークの先鋭化により、メフェナム酸及びEudragit各ピーク毎の化学シフトが評価可能となり、過飽和溶液の分子状態に関する詳細な情報が得られた。これまでに、過飽和溶液の分子状態を評価した報告は極めて限られており、本研究により得られた成果は有意義なものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書における平成24年度の検討予定は、新規in situ suspended state NMR法の開発である。本年度の検討より、過飽和溶液に適するsuspended state NMR法の測定条件は確立できた。また実際に固体分散体から調製した過飽和溶液を用いてsuspended NMR測定を行い、良好なスペクトルが得られることも確認した。一方、in situ 測定に適する温度感受性カプセルが得られず、in situの測定法を確立するに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.in situ suspended state NMR測定に適した特性(材質・形状・強度・崩壊性)を持つ温度感受性カプセルの検討を行う。温度感受性カプセルの入手にはカプセルメーカーの協力を得る。 2.in situ suspended state NMRスペクトル上に観察される薬物・ポリマーそれぞれのピーク積分値の定量評価から、薬物・ポリマー溶解速度及び薬物結晶化速度を算出する。さらに、化学シフト値及びピーク形状より、分子間相互作用及び分子運動性の評価を行う。数種類の固体分散体の比較検討から、薬物とポリマーのいかなる特性・因子が過飽和状態形成及び薬物結晶化に影響を与えるかを明らかとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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