研究課題/領域番号 |
24790049
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研究機関 | いわき明星大学 |
研究代表者 |
鈴木 薫 いわき明星大学, 薬学部, 研究員 (90382788)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | HIV感染予防 / 抗HIV薬 / タンパク質 / 糖鎖 / レクチン / X線結晶構造解析 / 感染症 / 薬学 |
研究実績の概要 |
産前産後の休暇又は育児休業による中断期間 平成26年4月1日~平成27年9月30日
平成26年5月に出産し、育児休暇を取得していたため、平成26年度の本補助事業を 中断いたしました。平成27年10月1日から復帰の予定です。復帰後は昨年度の実施状況報告書の研究実績の概要にも記載したように、本研究対象であるAH(アクチノヒビン)と糖との複合体の構造解析を進めると共に、研究方法および手法等を再検討して本研究を推進させる予定です。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、産前産後の休暇又は育児休業により1年間補助事業を中断しています。以下、平成25年度までの研究成果から現在までの達成度について簡潔に記載します。
AHと糖鎖との結合様式を解明するために、AHと種々のマンノース糖鎖(Man2, Man3, Man9)との複合体結晶の構造解析を行ってきた。AHとMan2との結晶化では、先端がメチル化されたMan2-OMeを用いて、またMan3についてはα-1-2,1-3Man3を用いてそれぞれ結晶化を行い、得られた結晶についての構造解析を行っている。これらの各種糖鎖とAHとの複合体の結晶が得られており、結晶化の実験はほぼ研究計画通りに進んでいるものと思われる。しかし、これらの結晶が析出するまでには予想以上の時間がかかっていること、得られた結晶の構造解析においても解析データの処理が容易でなく、高分解能の回折データが得られても構造解析が上手くいかない場合もあり、予想以上に結晶構造解析に時間を要している。 本年度までに、種々の結晶析出条件を基に、AHとgp120との複合体の結晶化および構造解析を行い、得られた結果を基にAHと糖鎖との結合特異性を向上させるための分子設計を行ってAH改変体の調製を試みる予定であったが、上記に示したように結晶化および構造解析による遅れから研究方法を再度検討したことに加えて、産前産後の休暇と育児休暇による実験中断の期間もあり、研究の目的に向かって本実験は進んでいるが、予定していた実施計画通り実験を行うことができなかったことから多少の遅れがあるものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
AHと糖鎖との結合機構を解明し、AHをより効果的な新しいHIV感染予防薬として改良するための構造基盤を確立することを目的に、中断前から行っているAHと各種糖鎖国(Man2, Man3, Man9)との構造解析と並行してAHとHIV外殻糖タンパク質(gp120)との複合体の結晶化実験を行う。当初は各種糖鎖との構造学的データを基に、AHとgp120との複合体の結晶化と構造解析を行う予定であったが、本研究を推進させるため、研究再開後は先ずはAHとgp120との複合体の結晶化を行い構造解析を試みる。AHとgp120の結晶化はこれまでに得られている結晶析出条件に囚われず新たに広範囲での結晶化条件の検索を行って研究を促進させる必要があると考えている。また、AHは高純度な精製標品として調製し、各種糖鎖についても精製純度の高いものを使用することで結晶化を向上させる。 サンプル量が十分に確保できれば、AHと種々のマンノース糖鎖およびgp120との結合能についてITC(等温滴定型熱量測定)などの分析学的手法を用いて得られる熱力学的データを得る。得られた熱力学的データと構造学的データを合わせて検討することで、詳細な糖鎖との結合特異性を見出し、さらに特異性を向上させたAH改変体を調製するための分子設計に必要な知見を得る。AH改変体については、構造解析の結果を基に検討したいと考えている。選定した改変体については、薬理学的、微量分析学的手法を用いて薬剤としての有効性および安全性を検討する。これらの薬理学的実験等については経験のある本学薬学部の先生方の協力を仰ぐ。研究成果をまとめ、HIV/AIDS予防・治療薬としての実用化に向けての構造基盤を確立することを目指し、得られた研究成果を生かして本研究をさらに進展させていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、産前産後の休暇又は育児休業による中断期間中であるために、助成金の使用はありません。また、平成25年度での次年度使用額が生じた理由は、昨年度の実施状況報告書に記載した通りです。AHと種々の糖鎖との結晶化およびその構造解析に時間がかかっていること、糖類の試薬はできる限り新鮮なものを使用するために、試薬類の購入は研究の進行状況に応じていることや糖類およびgp120は、高額である上に海外の専門メーカーから購入していることもあり発注においても慎重に行っていることなどが主な理由です。さらに、研究代表者の妊娠による体調不良もあり、予定通りに実験を行うこと困難となり進行が遅れたこともあり、次年度使用額が生じています。
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次年度使用額の使用計画 |
産前産後の休暇又は育児休業によるち中断による中断期間から復帰後は、中断前までの研究成果と中断後に析出している結晶がある場合にはその結晶の構造解析等による実験結果から研究計画を検討して研究を進めていきたいと考えている。復帰後1年目で1,100,231円、2年目では最終年度の配分額を使用する予定である。
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