研究概要 |
Aspergillus flavusを細胞バンクNBRCより譲渡を受け、培養を行った後にRNAを抽出し、RT-PCR法にて目的遺伝子uricaseを増幅した。得られた配列をpET発現ベクターにサブクローニングした。目的タンパク質を発現させた大腸菌破砕液(可溶画分)のUricaseの尿酸代謝能については、3,5-dichloro-2-hydroxybenzenesulfonic acid (DHBS)及び4-aminophenazoneを利用した発色アッセイ法により評価した(Clin. Chem., 26, 227, 1980)。結果、クローニングしたuricaseは可溶性画分に発現し、尿酸代謝能を持つことを確認した。また、蛍光タンパク質HyPerとuricaseの融合タンパク質を設計した。設計した融合タンパク質は大腸菌宿主において大量発現させ、uricase活性及び蛍光タンパク質HyPerの過酸化水素依存した蛍光活性を検討した。蛍光活性はタンパク質発現大腸菌懸濁液に過酸化水素を添加し、生じる蛍光を測定することにより行った。設計の際には、下の①②を考慮したバリアントを作製した。 ①HyPerとuricaseを融合する位置 N末端にHyPerを配置するもの(HyPer-Uricase)とC末端にHyPerが配置されるもの(Uricase-HyPer)の2種。 ②HyPerとuricase間のリンカー長 柔軟性が高く、リンカー配列として汎用されているGGGS配列を採用し2,4,8,12回繰り返したものを検討した。 結果、作製した融合タンパク質はいずれも尿酸代謝能及び過酸化水素依存的な蛍光活性を有していた。内、最も活性が高いものは、C末端にHyPerが配置され、リンカー配列が最長のGGGS12回繰り返しとなっている融合タンパク質であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
1.Uricase-HyPer融合タンパク質による尿酸の蛍光検出 これまで活性を確認した融合タンパク質に尿酸を添加し、蛍光プレートリーダーによって蛍光値を定量することによって、尿酸量に応じた蛍光値の変化を示すかどうか検討する。 2.尿酸トランスポーター恒常発現細胞株の作製 研究代表者は既にヒト胎児腎臓由来のHEK293細胞に尿酸トランスポーターhuman URAT1遺伝子を一過性発現し、その発現を抗URAT1抗体を用いた免疫染色により確認した。本申請課題ではさらに抗生物質G418による培養を行い、URAT1を恒常発現するHEK293細胞株を作製する。そして14C標識した尿酸の取り込み量を放射定量し、発現したURAT1が尿酸取り込み能を維持しているかどうか評価する。また、尿酸取り込み能を喪失するとの報告がある(J. Am. Soc. Nephrol., 15, 164, 2004)URAT1/G774A変異体の恒常発現株も同時に作製する。 3.Uricase-HyPer融合タンパク質発現細胞における尿酸の蛍光検出 融合タンパク質の遺伝子配列を哺乳類細胞発現用ベクターpcDNA3.1にサブクローニングし、尿酸トランスポーター発現細胞に遺伝子導入する。融合タンパク質を発現する尿酸トランスポーター発現細胞に尿酸を添加した際の蛍光の経時的変化を蛍光プレートリーダーによりモニタリングする。
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