研究課題
本研究課題の最大の目標は、遺伝子レベルでの合理的な分子設計により、①ゲルの架橋点数;②ゲスト残基の疎水性度;③ポリペプチド鎖長の3つのパラメータを厳密に規定して得られる人工エラスチンポリペプチドを、注射投与可能なインジェクタブル薬物送達を実現する生体吸収性ハイドロゲルとしてプラットフォーム化できるかを実験科学的に論証することにあった。もしこれが可能であれば、現在、全世界各国において国家レベルで精力的に進められているペプチド・タンパク質・細胞性医薬であるバイオ医薬品開発における新たな創薬/薬物送達手法の基礎の提案に繋げることができる。総じて、研究期間内にプラットフォーム創製の足掛かりを得ることに成就した。2年間の研究期間を含め、これまでに上述の3つのパラメータの異なる計30種の人工エラスチンポリペプチドを設計・調製して、大まかな系統的解析を実施することができた。薬物候補として抗HIVペプチドEnfuvirtideおよび破傷風トキソイドの2つに焦点を当て、調製した人工エラスチンポリペプチドをデポ型薬物として、薬物との相性、すなわち薬物貯留能・保護能・徐放能、そして薬効をin vitroおよびin vivoの両側面から検証した。その結果、最適な種類の人工エラスチンポリペプチドと組み合わせて注射投与により薬物を生体内に留置すると、薬物単独を投与した場合と比較して明らかに優れた生体応答・薬効が認められた。今後、本研究で見出した人工エラスチンに改良を施し、これら2種の薬物に加えてさらに多種のバイオ医薬との組み合わせに関して幅広く解析を進めていきたい。また一方で本研究期間内に、肝細胞ターゲティングおよび循環器疾患細胞マーカーペプチドの開発にも成功した。新たなペプチド医薬モジュールとして人工エラスチンに融合したキメラ型ポリペプチドの分子設計へと繋げていく予定である。
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