京都府立大学のグループと共同で単離した、Geobacillus collagenovorans MO-1 株から2 種類(Pz-A、Pz-B)、Aneurinibacillus 属細菌AM-1 株から1種類(AM-1)の計3 種類の、難分解性動物タンパク質分解酵素について、平成24年度までに結晶が得られ、それぞれ2Å付近の分解能のX 線回折強度データが得られていたが、今回、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」でのタンパク質結晶化実験を実施したところ、3 種類すべてのタンパク質において非常に良質の結晶が得られた。これらをSPring-8 BL44XU 大阪大学蛋白質研究所超分子構造解析ビームラインにおいて、X 線回折データ測定を行ったところ、Pz-A 及びPz-B では1.5Å、AM-1 では1.3Åと従来に比較し、良質のデータが得られた。その構造解析を行った結果、従来温度因子が高く見えていなかったループの領域等についても詳細な立体構造データを取得することができ、基質認識機構について新たな知見が得られた。 宇宙ステーションで結晶化実験を実施した3 種類のタンパク質については、いずれも高品質な結晶が得られた。具体的には、国際宇宙ステーションでの微小重力下で結晶化実験を行うことにより、タンパク質Pz-B 結晶について地上実験では、2.0Å分解能が最高分解能であり、阻害剤近辺が見えていなかったが、それらの残基の側鎖について、宇宙実験で得られたデータ(1.6Å)から、コンホメーションの確認ができた。また、酵素AM-1 について阻害剤との複合体で、1.38Å分解能のデータセットを取得した。このことにより、阻害剤がAM-1 を阻害する機構について原子レベルで明らかにすることができた。
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