研究課題/領域番号 |
24790063
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小原 祐太郎 山形大学, 医学部, 准教授 (40400270)
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キーワード | 神経栄養因子 / NGF / ERK5 / MAPK |
研究概要 |
われわれは、以前より神経細胞の分化の過程で、ERK5がp36遺伝子を誘導することをマイクロアレイ法で見出していた。さらに、このp36遺伝子はチロシンヒドロキシラーゼの発現やカテコラミンの産生に必須の因子であることを明らかにしてきた。そこで、p36遺伝子のチロシンヒドロキシラーゼの発現促進メカニズムを調べたところ、p36はチロシンヒドロキシラーゼのmRNA発現量には影響を与えなかったことから、チロシンヒドロキシラーゼタンパク質の安定化に関与していることが示唆された。特に、p36がチロシンヒドロキシラーゼの分解系(ユビキチンープロテアソーム系)を抑制しているものと推定される。 また、前年度に引き続き、ERK5とERK1/2のクロストーク機構の解析についても行った。Rasオンコジーンにより活性化されたERK1/2がERK5のT732をリン酸化することが確認された。さらに、NGFやEGFなどの増殖因子刺激によっても同様の現象が引き起こされ、自己リン酸化能を欠くERK5 kinase-dead変異体のT732もリン酸化された。そこで、ERK5 T732A変異体を作製し、MEF2の転写活性をレポーターアッセイ法により定量したところ、ERK5 WTと比較してERK5 T732AによるMEF2の活性化能は有意に減弱していた。以上より、ERK1/2によるERK5のリン酸化はERK5下流の転写因子の活性化に重要なことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
異動があったため、研究課題申請時と研究環境が異なり、若干の遅れが出ている。研究期間を延長して対処する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
計画の進行が遅れている部分があるが、必要な試薬・機器も揃ったので、遅れは取り戻せると思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度にERK5によって発現が誘導されるmidnolin遺伝子の機能解析を行う予定であったが、研究課題申請後に異動したために研究環境が大きく変わり、研究の進捗が当初の予測よりやや遅れたため、未使用額が生じた。 このため、midnolin遺伝子の機能解析を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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