研究課題/領域番号 |
24790066
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中村 浩之 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20447311)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | セラミドキナーゼ / 細胞内コレステロール輸送 / セラミド-1-リン酸 |
研究概要 |
今年度はセラミドキナーゼがコレステロールの細胞内輸送に与える影響について検討した。COS-7細胞やセラミドキナーゼを安定的に過剰発現させたCHO細胞などにおいて、細胞内遊離コレステロールをフィリピンで染色し、その細胞内局在を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。その結果、セラミドキナーゼをノックダウンした細胞においては変化が見られなかったが、セラミドキナーゼの過剰発現或いは外因的にセラミド-1-リン酸を添加した細胞において、ドット状に遊離コレステロールが蓄積している様子が観察された。これらの細胞をリポタンパクが欠損している培地で培養すると、遊離コレステロールの蓄積は見られなかった。また、細胞を緑色蛍光基BODIPYで標識された低密度リポタンパク質 (BODIPY-LDL) と氷上でインキュベートし、洗浄後、37℃でインキュベートしてその細胞内局在を経時的に観察した。その結果、コントロール細胞においてはBODIPY-LDLは局所的な局在を示さなかったが、セラミドキナーゼを発現或いは外因的にセラミド-1-リン酸を添加した細胞においては、局所的にドット状に蓄積している様子が観察された。この蓄積している細胞内局在を特定するために、オルガネラマーカーとの二重染色を行ったところ、後期エンドソーム/リソソームのマーカーのLAMP1がフィリピン及びBODIPY-LDLの局在と一致した。これらの結果から、セラミドキナーゼはLDLに由来する遊離コレステロールの細胞内輸送を負に制御する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までの結果から、セラミドキナーゼがLDLに由来する遊離コレステロールの細胞内輸送を負に制御している可能性を示すことができた。また、ニーマンピック病C型細胞における細胞内コレステロール蓄積にはセラミドキナーゼが関与している可能性も示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、セラミドキナーゼによるコレステロールの細胞内輸送制御機構を明らかにするために以下のように研究を進めていく。 1)コレステロールの細胞内輸送機構におけるセラミドキナーゼの役割を解明する: セラミドキナーゼが遊離コレステロールの輸送を負に制御する可能性を調べるため、小胞体へのコレステロール輸送に与える影響を検討する。 2)ニーマンピック病C型細胞でのコレステロール輸送におけるセラミドキナーゼの役割を解明する: セラミドキナーゼをノックダウンした細胞ではコレステロールの輸送異常が改善されることを確認する。 3)ニーマンピック病C型におけるスフィンゴ脂質蓄積機構を解明する: 細胞内スフィンゴ脂質を定量し、またスフィンゴ脂質代謝酵素の活性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は約4ヶ月半の間、海外に留学したため、研究費を使い切きることができず次年度に繰り越した。次年度の研究費の大半は実験に必要な消耗品に使用する。その他、学会参加における旅費や論文掲載料などに使用する。
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