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2012 年度 実施状況報告書

家族性パーキンソン病責任遺伝子産物LRRK2の膜局在性とその意義の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24790068
研究機関東京大学

研究代表者

伊藤 弦太  東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10431892)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードパーキンソン病 / LRRK2 / キナーゼ
研究概要

家族性パーキンソン病の責任遺伝子のひとつであるLeucine-rich repeat kinase 2(LRRK2)は、可溶性タンパク質であるが、細胞内のミトコンドリアや輸送小胞などの膜上に局在することが知られている。しかしながら、膜局在の意義はよくわかっていない。LRRK2を過剰発現するHEK293細胞を細胞質画分と膜画分に分画したところ、いずれの画分にもLRRK2が存在することが確かめられた。また、それぞれの画分からLRRK2を免疫沈降し、そのキナーゼ活性を解析したところ、いずれの画分でも同程度の活性を有することが明らかになった。LRRK2の膜局在の意義を解析するため、低分子化合物であるAP21967依存的にLRRK2を膜に局在させるchemical-induced localization(CIL)実験系を確立した。これは、mTORのFRBドメインとFKBPがrapamycin存在下で特異的に相互作用する性質を利用している。まず、FRBドメインを各種膜局在シグナルと融合させたものをHEK293細胞に過剰発現させ、同時に改変型FKBPを融合させたEGFPを共発現させた。細胞をrapamycinアナログであるAP21967で処理すると、目的の細胞内小器官の膜上にEGFPが局在化した。さらに、2xFKBP-LRRK2-2xMycを恒常発現するHEK293細胞を樹立した。この細胞にFis1-FRB、TOMM20-FRBを過剰発現させると、LRRK2がミトコンドリアに膜上に移行した。これらの実験系を用いて、LRRK2を積極的に特定のオルガネラに局在させたときのLRRK2の活性や性状の変化を追究することができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の計画として、培養細胞の生化学的分画を行い、それぞれの画分でのLRRK2のキナーゼ活性を解析すること、およびCIL実験系を確立することを挙げた。いずれの実験についても順調に進行し、生化学的に分画された画分において、LRRK2のキナーゼ活性は異ならないことを明らかにし、およびLRRK2をミトコンドリアなどの膜上に強制的に局在化させることに成功した。

今後の研究の推進方策

生化学的分画により細胞質画分と膜画分を分離し、それぞれにおけるLRRK2キナーゼ活性を測定したが、いずれの画分でも同程度の活性を示した。この結果から、LRRK2の細胞内局在はキナーゼ活性に影響しない可能性が示唆された。しかしながら、より詳細にオルガネラを分離すれば、特定のオルガネラ膜上でのみ活性化されている可能性を検証できるため、イオジキサノール密度勾配遠心法で詳細に分画することを試みる。CIL実験系については、一過性の共発現ではLRRK2とFRBドメインの共発現効率が低かったことから、LRRK2の恒常発現細胞にFRBドメインを一過性発現することにした。本年度確立したCIL実験系を用いて、LRRK2の膜局在の意義について、キナーゼ活性のみならず、近年LRRK2の活性発揮に重要であると報告されているGTP結合や2量体形成についても検討を行う。これらの研究の遂行により、LRRK2の膜局在がどのような意義を有するか明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Molecular mechanism of hypophosphorylation of LRRK2 caused by familial mutations2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤弦太、上川路翔悟、岩坪威
    • 学会等名
      Neuroscience 2012
    • 発表場所
      New Orleans, USA
    • 年月日
      20121013-20121017
  • [備考] 東京大学大学院医学系研究科神経病理学分野

    • URL

      http://www.neuropathology.m.u-tokyo.ac.jp/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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