研究課題/領域番号 |
24790072
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀部 智久 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20467468)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 薬学 / 癌 / ストレス / タンパク質 |
研究概要 |
細胞内では、絶えずタンパク質が合成され、それぞれのタンパク質は目的の場所に運ばれ、そこで仕事を行い、役割を果たしたものは基本的に壊される。この一連の過程において異常タンパク質の蓄積が発生すると細胞は、迅速かつ速やかに応答し、対処するための手段(Unfolded protein response (UPR))をそれぞれのオルガネラ(核、小胞体、ミトコンドリア、リソソーム、ゴルジ体)に有しており厳格に制御されていることが近年明らかとなってきた。本研究では、癌細胞内のオルガネラ特異的UPRを標的とした新たな抗癌分子標的薬の評価法を確立することを目的としている。平成24年度は、主に下記の研究内容を行った。 (1)各オルガネラ(小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ体、細胞質)特異的UPRの遺伝子応答検出のための最適な遺伝子群のピックアップ。各オルガネラ特異的UPRの遺伝子応答検出に最適な遺伝子として、以下をピックアップした。小胞体UPR: Bip;ミトコンドリアUPR: Cpn60/10, YME1L1;ゴルジ体UPR: GCP60; 細胞質UPR: Hsp70 (2)各オルガネラ特異的UPR応答遺伝子のプロモーター領域のクローニングならびに、癌細胞を用いたレポーターアッセイ系の構築。上記、各オルガネラのUPRにおいて応答することが判明している遺伝子のプロモーター領域をクローニングして、レポーターアッセイ用ベクターに組み込み、癌細胞に遺伝子導入してレポーターアッセイ系を構築し、評価できるかどうかを確認した。 (3)候補化合物による遺伝子応答の検討。構築されたレポーターアッセイ系を用いて、UPR標的候補化合物を用いて、癌細胞を処理した後、各オルガネラの遺伝子の応答の割合を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度の研究計画の内容に関して、予定していた応答遺伝子群のピックアップならびに、レポーターアッセイ系のための遺伝子構築がほぼすべて終了し、かつ、癌細胞内での応答確認もすでに終了した。また、siRNAを用いた影響も確認できているために、ここまでおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、H24年度で構築したレポーターアッセイ系を用いて、LV200システムによる一細胞レベルでの発光モニタリングを各オルガネラ応答遺伝子のプロモーターを用いて行い、評価法としての可能性を確認する。さらには、UPRを標的とした候補化合物と癌細胞への殺細胞効果との相関を明らかにし、各オルガネラUPRに対する影響を検討することで、評価法確立を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度の研究費の使用計画としては、次の項目で使用予定である。 レポーターアッセイ系の実験を多数行う予定のために、発光実験用を含む試薬類。動物実験のための動物購入、保守費用等。癌細胞を含む、培養細胞購入費用。細胞培養を行う上で必要な細胞培養用プラスチックおよびガラス器具類等。その他、実験で必要となる試薬類等。また、その他として、研究成果発表のための費用等である。
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