癌細胞内のオルガネラ特異的ストレス応答を標的とした抗癌分子標的薬の評価法の確立のために、平成24年度に作成した各種オルガネラ特異的Unfolded protein response (UPR)応答遺伝子のレポーターアッセイ用ベクターを用いて、平成25年度は、主に下記の研究内容を行った。 (1) LV200を用いたシングルセル発光システムによる評価法の検討 LV200システムは、リアルタイムな発光の検出を生きたままの一細胞レベルで行うことが可能である。LV200システムを用いて、癌細胞および正常細胞へのレポーターアッセイ用ベクターのトランスフェクション効率の可視化および、各種オルガネラ特異的UPR応答遺伝子のモニタリングを行った。その結果、迅速なトランスフェクション効率の確認、可視化が行えることならびにこれらレポーター遺伝子のモニタリングが可能であることが確認された。 (2) 各オルガネラ特異的UPR応答遺伝子の活性化のin vitroおよびin vivoにおける可視化およびモニタリング (1)においてLV200システムを用いて確立した評価系を用いて各種オルガネラ特異的UPR応答遺伝子の活性化の可視化およびモニタリングを行った。In vitroにおいては、増殖速度の異なる各種癌細胞を用いて一過性にトランスフェクションしたレポーター遺伝子の活性化のモニタリングを行い、in vivoにおいては、オルガネラ特異的UPR応答遺伝子のレポーター安定発現癌細胞株を作成した後に、ヌードマウスに移植した後、腫瘍を形成させてIVISで発光を確認した後に、腫瘍を摘出してスライスにして培養液中で発光強度の変化の観察を行った。In vitroおよびin vivoのいずれにおいてもレポーター遺伝子の時間経過ごとの可視化およびモニタリングを行うことが可能であることが判明した。以上のことから発光システムを用いたレポーターアッセイ系は、これら応答遺伝子の活性化をリアルタイムでモニタリングする上で有用な評価系であることが確認された。
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