Calumin は小胞体一回膜貫通タンパク質であり、calumin 欠損マウスは胎生 10.5日付近で胎性致死となるが、その詳細な生理機能は不明である。Calumin はこの時期には卵黄嚢の内胚葉細胞に発現しており、胎生 9.5日付近の内胚葉細胞において脂質の貯留が認められた。本申請研究においては calumin の生理機能の解明を目指した。 Calumin との相互作用する分子を探索したところ ER-associated degradation (ERAD) へ関与する分子を同定できた。タンパク質は立体構造を構築するために翻訳後折りたたまれ、機能タンパク質になる。折りたたまれず機能タンパク質になれないタンパク質 (unfoled protein) は小胞体内で蓄積しないよう ERAD によって分解される。ERAD の基質を用いた cycloheximed chase assay や cholera toxin retrotranslocation assay などを行ったところ、機能的にも calumin が ERAD に関与していることを in vitro レベルで確認することができた。 そこでの calumin の ERAD における in vivo レベルの重要性を明らかにするために calumin 発現が認められている卵黄嚢の内胚葉細胞に着目した。その結果、calumin 欠損マウス卵黄嚢の内胚葉細胞にて ER ストレスの行進と、それに伴う ER 構造変化が認められた。また上記の脂質の貯留は ER ストレスの行進に伴い認めれらる表現系として知られている。 本研究にて機能未知分子である calumin の生理的役割として ERAD への関与を明らかにし、発生時にはそれらの機能が ER の恒常性の維持に重要な役割を果たしていることを提示できた。
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