研究課題
我々が所有する既存薬ライブラリーを充実させ、ストレスタンパク質誘導薬のスクリーニングの出発材料とした。また、過去の我々の研究を評価した中国政府から特別に生薬2000種が我々に供与されたので、この生薬の溶解法や動物・細胞への投与法を確立し、生薬ライブラリーを構築した。精製したHSP25をマウスに投与すると炎症(自然炎症)が起こること、及びこのHSP25に対する受容体がToll-like受容体ではないことを示唆している。そこでHSP25に対する受容体を同定するために細胞膜タンパク質を可溶化し、それと精製したHSP25を結合させ、HSP25と共沈降するタンパク質を同定した。一方、HSP25を細胞に作用させ誘導される遺伝子をDNAチップで解析することにより、HSP25が活性化する受容体を予測した。次に同定したタンパク質が確かにHSP25の受容体として働いていることを確認した。他のストレスタンパク質に関しても、その過剰発現マウスで自然炎症が誘導されているかを調べた。具体的には、炎症関連因子を過剰発現マウスと野生型マウスで比較した。その結果、NF-kBやAP-1などの炎症関連転写因子、炎症誘導性(及び抑制性)サイトカイン、ケモカイン、細胞接着因子などの変化を見出した。一方、精製したストレスタンパク質を用いた解析も行った。各疾患の発症抑制・治癒促進に貢献しているストレスタンパク質の同定について各ストレスタンパク質の過剰発現マウスと各疾患動物モデルを組み合わせて、各種疾患の発症を抑制しているストレスタンパク質を同定した。対象とする疾患は、胃潰瘍、小腸潰瘍、炎症性腸疾患、特発性肺線維症、COPDである。過剰発現マウスで疾患抑制が見られたHSP90においては、炎症性細胞の浸潤、炎症性サイトカインの量などを測定し、炎症反応も抑制されていることを見出した。さらに各疾患に関して治癒モデルを確立し、その治癒を各ストレスタンパク質が促進するかを調べた。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Nature Communications
巻: 4 ページ: 2686-2686