研究課題/領域番号 |
24790092
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
今江 理恵子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (60584000)
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キーワード | RNAi / メンブレントラフィック |
研究概要 |
二本鎖RNA(double-stranded RNA;dsRNA)は細胞内においてRNA干渉(RNAi)を引き起こすが、dsRNAは細胞外に分泌されて別の細胞にも伝搬し、RNAiを引き起こすことが知られている(systemic RNAi)。しかしながら、dsRNAが細胞間を移動する分子メカニズムはほとんど明らかになっていない。 これまでに線虫 C. elegansを用いて、メンブレントラフィックに関わる遺伝子群を対象にsystemic RNAiに関わる遺伝子のスクリーニングを行い、いくつかの候補遺伝子を得ている。このうち、哺乳動物まで高度に保存された遺伝子の1つに着目し、解析を進めている。これまでに、この遺伝子がdsRNAを取り込む細胞で機能することを明らかにしている。具体的にどのようなメカニズムで機能しているかを明らかにするため、まずこの分子が細胞内でどこに局在しているか解析した。線虫においてスカベンジャー細胞として機能するセロモサイトと上皮細胞において解析したところ、この分子はトランスゴルジ網(TGN)やエンドソームに局在することが明らかになった。この結果から、dsRNAの取り込みにおいて、オルガネラ間の小胞輸送が重要な役割を果たすことが示唆された。dsRNAの取り込みにおいては、膜タンパク質であるSID-1が重要な役割を果たすことが知られている。そこで、この分子がSID-1の局在や発現に影響を与えているかを解析した。上皮細胞においてSID-1のC末にGFPを付けたSID-1::GFPを発現するトランスジェニック体を作成し、SID-1::GFPの局在を観察したところ、この分子の変異体において顕著な局在変化は見られなかった。この結果から、この分子がSID-1の制御以外のメカニズムで機能していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、systemic RNAiがいかにして細胞内外を移動するのか、その分子メカニズムを明らかにすることである。細胞間の分泌・取り込みのステップだけでなく、その前後の細胞内でのdsRNAの動態の解明も視野に入れる。現在のところ、着目している遺伝子の解析から、dsRNAを取り込む細胞において、どのような分子経路が関与するかが明らかになりつつある。また、可視化したdsRNAの輸送をアッセイする系を構築中であり、現在までにdsRNAの細胞への取り込みは観察できている。この系をさらに検討することにより、dsRNAの輸送経路を解析することができる。さらに、着目している分子がどこからどこへの輸送を担っているかを解明できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在着目している遺伝子について、dsRNAの輸送経路のどの過程を担っているかを明らかにする。このためには、dsRNAを可視化して、細胞内輸送を直接観察する必要がある。現在までに蛍光標識したdsRNAを作成し、線虫の体腔にマイクロインジェクションすることにより、dsRNAの細胞内への取り込みが観察されている。この系をさらに検討し、RNAiを引き起こすdsRNAの輸送経路のアッセイ系を構築する。また、現在着目している遺伝子と関連する遺伝子を探索するため、変異体を用いたサプレッサースクリーニングを行う。さらに、線虫を用いて明らかにした分子メカニズムの哺乳動物細胞における保存性を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
哺乳動物細胞を用いた検証を次年度に行うこととしたため。 消耗品として、薬品は遺伝子工学(ポリメラーゼ、制限酵素、プレップ、シークエンス等)、生化学的解析(抗体等)に要する試薬、および細胞培養用の培地や試薬を中心に購入する(60万円)。プラスティック器具として主に線虫培養や細胞培養用シャーレ、チューブ類を購入する(10万円)。旅費として、得られた研究成果を学会にて発表し、最新の情報を収集する。海外1回(15~20万円)、国内2回(10万円)の予定である。その他、得られた研究成果を学術雑誌に投稿するため、投稿料として10万円使用する予定である。
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