研究課題/領域番号 |
24790096
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
室山 明子 北陸大学, 薬学部, 講師 (00434473)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | パーキンソン病 |
研究概要 |
本研究課題では、我々が独自に確立した線条体ドパミン神経終末(シナプトソーム)において、ミトコンドリア機能、酸化ストレスの産生及びそれらの影響を受ける分子動態を検討することを目的としている。まず、線条体シナプトソームおよびビーズ結合ドパミン神経シナプトソームの構造を確認するため、これらの画分を透過型電子顕微鏡により観察した。典型的なシナプトソームの構造やシナプトソーム内にミトコンドリアなどのオルガネラの存在が確認された。 線条体組織には様々な神経が混在し,ドパミン神経が約10%しか存在しないため,線条体組織から得られるドパミン神経シナプトソームもわずかであり、免疫分離において時間を要する。そこで、より簡便なドパミン神経シナプトソームの機能評価系の確立を目指し、モノアミントランスポーターの機能評価に用いられる蛍光物質4-(4-diethylaminostyryl)-N-methylpyridinium iodide (ASP+)が線条体シナプトソームにおいて、ドパミントランスポーターの機能評価に応用可能かを検討した。ASP+は線条体シナプトソームにおいて、濃度及び温度依存的に取り込まれ、飽和が認められた。線条体及び前頭皮質由来シナプトソームを調製し、ASP+がモノアミントランスポーターに特異的に取り込まれるか種々のモノアミントランスポーター阻害剤を用い比較検討した。DAT阻害剤であるGBR-12909は、線条体由来シナプトソームにおいてASP+の取り込みを抑制したが、前頭皮質由来シナプトソームでは、抑制は認めらなかった。したがって、線条体シナプトソームにおけるASP+の輸送活性はドパミン神経終末の機能評価に有用である可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究室では、パーキンソン病モデルマウスにおいて、ドパミン神経保護効果を有する天然化合物の探索もおこなっている。最近保護効果を有する可能性のある化合物を見出したため、その効力評価を優先的に行った。また、パーキンソン病誘発毒素を用いた細胞障害モデルにおいても、その化合物による細胞障害保護効果や保護メカニズムについて検討した。そのため、当初の研究計画よりやや遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
ドパミン神経終末の単離法を応用し、ドパミン神経シナプトソームを用いたミトコンドリア酸化還元活性、膜電位及び酸化ストレスの評価法を確立する。さらに、正常マウス、ストレス性精神障害モデルマウス及びMPTP処置後ドパミン神経変性前段階のマウス線条体ドパミン神経シナプトソームを用い、軸索輸送関連分子及びアポトーシス関連分子のタンパク発現レベルを解析し、それに対する、ミトコンドリア賦活剤及び抗酸化剤の効果を検討する。また、ストレス性精神障害モデルマウスの脳内各部位におけるモノアミン量を測定する。さらに、MPTPに対する脆弱性において抗不安・抗うつ薬の効果を検討する。ドパミン神経シナプトソームにおけるミトコンドリア酸化還元活性、膜電位及び酸化ストレスの評価法を応用し、正常マウス、ストレス性精神障害モデルマウス及びMPTP処置後ドパミン神経変性前段階のマウス線条体ドパミン神経シナプトソームにおいて、これらを検証する。そして、ミトコンドリア賦活剤、抗酸化剤及び抗不安・抗うつ薬の効果を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物費、抗体、蛍光指示薬等の消耗品、学会発表等の旅費に使用する予定である。
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