研究課題
エンドセリン変換酵素(ECE)はエンドセリン-1の合成酵素として知られているが、アンギオテンシン変換酵素(ACE), 中性メタロプロテアーゼ(NEP)と同じZinc metalloprotease faimilyに属する酵素であり、特にNEPとのアミノ酸相同性が高く、エンドセリンの前駆物質であるBigET-1以外に多くの血管作動性ペプチドを代謝する能力を持っている事が確認されている。しかしながら、その病態学的な影響は依然評価されたことはない。我々の研究の目的は心血管疾患の病態進展に重要な役割を果すエンドセリン(ET)系、ブラジキニン(BK)系などの様々な血管作動性ペプチドに対するエンドセリン変換酵素(ECE)の影響を評価し、ECE阻害薬の臨床応用に向けた病態改善作用を様々な病態モデルで確認する事である。我々は、ECE-1欠損マウスを使用し、糖尿病性心筋症・腎症モデル、糖尿病下肢虚血モデルといった様々な病態モデルで、病態改善作用を観察し得たが、代謝候補物質である血管作動性ペプチド群を肺・血中・腎臓・心臓で定量した所、エンドセリン-1の濃度に関しては野生型と欠損マウス間で明らかな差がなかったが、ブラジキニン濃度、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の組織中濃度が欠損マウスで有意に上昇しており、ブラジキニンによる血管拡張作用、CGRPの抗炎症作用といったエンドセリン系とは独立した経路を介して病態進行を抑制している可能性を示せた。本研究はエンドセリン受容体拮抗薬にはない新たなエンドセリン系介入経路を持つエンドセリン変換酵素抑制による新規病態改善機序を提唱する研究となった。
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