研究課題/領域番号 |
24790109
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田村 理 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (30362619)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アレルギー / IgEレセプター / pheophorbide a / RBL 2H3 |
研究概要 |
以前に構築したヒトマスト細胞に対するIgEレセプター発現量評価系と同様にして、ラット由来マスト細胞として一般的に用いられているRBL-2H3に対する評価系の構築を完了した。すなわち、抗Rat FcεRI抗体に続き二次抗体としてFITCラベル化抗体で処理してフローサイトメーターで蛍光強度を検出することでIgEレセプター発現量の測定が可能となった。しかしながら、ヒトマスト細胞に対するIgEレセプター発現抑制物質は、いずれもRBL-2H3に対しては活性を示さなかったため、これらの構造活性相関の検討を中断し、あらたに天然資源由来のRBL-2H3に対するIgEレセプター発現抑制物質の探索を開始し、生薬ソヨウのメタノール抽出エキスより活性物質として「pheophorbide a」を見出した。現在、本活性化合物について、構造活性相関の検討を行っている。 また、IgEレセプターの発現抑制が抗アレルギー作用に繋がることを証明する目的の端緒として、ラットの腹腔浸潤液からマスト細胞を回収する方法を検討した。マスト細胞用バッファーを腹腔内に注射し、開腹して細胞浸潤液を回収後、遠心分離によって細胞群を得たのち、Ficoll液による密度勾配法によってマスト細胞を精製した。これらの細胞は、マスト細胞が選択的に染色されるtoluidine blueによって精製を確認することができた。取り出したマスト細胞については固定化の後、in vitroでの操作と同様に、抗Rat FcεRI抗体に続くFITCラベル化抗体で処理してフローサイトメーターで検出することでIgEレセプター発現量の測定を行った。現在、本法の精度を上げるべく操作プロトコルの最適化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroラットマスト細胞でのアッセイ系構築は予定通り完了したが、ヒト細胞に対する活性物質はラット細胞には活性を示さなかった。本来、見出していた活性物質を元に構造活性相関の検討を行う予定であったが、この検討は中止した。この状況は計画の段階で多少予期していた事象であり、大きな問題もなく柔軟に対応できた。その後、新たな活性物質の発見およびラット腹腔から回収したマスト細胞に対するIgEレセプター発現量評価系の構築(最適化は進行中であるが)と、概ね申請した計画通りの成果が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
幸いにして、昨年度は概ね計画書どおり遂行することができたので、今後も当初の計画に則って研究を推進する。 まずは、ラット腹腔から採取したマスト細胞に対するIgEレセプター発現量評価系の構築を最適化を含めて完了する。また、in vitroの系でpheophorbide aの構造活性相関を検討する。その際、in vivoへの展開を見据えて、活性と同時に量的供給の観点からも化合物を評価する。これら両結果を掛け合わせて、見出した有用な活性物質をin vivo試験に適用し、in vitroでの活性物質がin vivoでもIgEレセプター発現抑制効果を示す事を証明する。ここでは、投与経路や投与量、投与回数、投与から検出までの日数を検討する。 さらに、I型アレルギー試験として頻用されているラットを用いたPCA (passive cutaneous anaphylaxis)試験を習得し、in vivoでIgEレセプター発現抑制効果を示した活性物質が抗アレルギー作用を示すことを証明したい。 余力があれば、さらなる活性物質の探索を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り、類縁体合成のための消耗品、生物活性評価のための消耗品、実験動物などの物品費用とともに成果発表のための旅費が必要となる。 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に遂行したことに伴い発生した発生した未使用額であり、平成25年度請求額と併せ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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