研究課題
臨床において、薬物代謝酵素による医薬品の代謝的活性化に伴う肝毒性が問題となるケースは多く、医薬品開発においてこの毒性を予測する評価系の構築が求められている。本研究では、3次元培養プレートmicro-cell culture plateを用い、肝細胞の細胞塊(スフェロイド)を形成させることにより3次元培養を行い、医薬品の代謝的活性に伴うin vitro肝毒性評価系の構築を目指した。24年度は、臨床で代謝的活性化に伴う肝毒性が報告されるアセトアミノフェンを検証化合物に用い、アセトアミノフェンのスフェロイドに対する毒性を評価した。25年度は、アセトアミノフェンの肝毒性に関わる研究の継続検討および、アセトアミノフェン以外の検証化合物での肝毒性評価などを行った。アセトアミノフェンでは、濃度的依存的にスフェロイドの肝毒性を確認でき、薬物代謝酵素の阻害剤によって肝毒性が軽減されたこと、アセトアミノフェングルタチオン抱合体を質量分析装置により検出できたことから、この毒性原因は、活性代謝代謝物N-acethyl-p-benzoquinoneimineによるものと推察され、in vivoで報告されるアセトアミノフェンの毒性を反映していた。また、非ステロイド性抗炎症薬であるジクロフェナク、イブフェナク、ブロムフェナクなどの化合物での検証を行った。これらは、アセトアミノフェンとは異なる代謝的活性化による肝毒性が報告される。しかし、これらについては、本評価系において代謝的活性化による毒性が反映されない結果となったことから、今後、細胞培養条件や評価系を構築するにあたりさらなる検討が必要である。
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Biopharm Drug Dispos.
巻: 35(2) ページ: 71-86
doi: 10.1002/bdd.1864.
Toxicology in Vitro
巻: in press ページ: in press