研究課題/領域番号 |
24790129
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
中南 秀将 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (20548515)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 感染症 / 細菌 / 微生物 / 抗生物質 |
研究概要 |
初年度は、凍結allograftの抗菌活性について研究した。対象菌株として、多剤耐性菌であり、院内感染の主要な原因菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を使用した。ラットから摘出されたallograftは、研究協力施設の東京大学医学部附属病院・心臓外科より提供を受けた。 (1)Allograft抽出液の調整:非凍結または凍結したラットの胸部大動脈を別のラットの腹部大動脈に移植し、1週間後に摘出する群と2週間後に摘出する群に分けた。さらに、それぞれの群を凍結群、非凍結群に分けた。Negative controlとして、移植していないラットの胸部大動脈を使用した。 (2)抗菌活性の測定:各種allograft抽出液と菌液を混合培養し、一定時間経過毎に反応液を採取し、抗菌活性を測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
凍結保存されたallograftの抗微生物活性を測定した結果、凍結allograftは非凍結allograftと同程度のMRSA増殖抑制効果を示した(P=0.9925)。さらに、移植2週間後においては、非凍結、凍結allograftとの間でMRSA増殖抑制効果に大きな差は認められなかったが(P=0.9925)、移植1週間後においては、凍結allograftは非凍結allograftよりも、MRSA増殖抑制効果が高い傾向が認められた(P=0.0500)。 したがって、凍結allograftは非凍結allograftと同等かそれ以上のMRSA増殖抑制効果を有することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、tryptophan(Trp)代謝物質の抗菌活性機序について研究する。 (1)Trp代謝物質の抗菌活性の測定:MRSAに対するTrp代謝物質の抗菌活性は、最小発育阻止濃度(MIC)から判定する。Trp代謝物質としてL-kynurenine、3-hydroxy-DL-kynurenine、anthranilic acid、3-hydroxyanthranilic acid、quinolinic acid、およびα-picolinic acidを使用する。 (2)Chequerboard titrations法によるTrp代謝物質の相乗効果の測定:Trp代謝物質同士の相加相乗効果について、fractional inhibitory concentration(FIC)indexを算出し、判定する。 (3)Trp代謝物質の細胞侵入性の研究:細胞侵入性はgentamicin protection assayを改良して測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Trp代謝物質の抗菌活性と細胞侵入抑制作用を測定する。Trp代謝物質および抗菌薬は、非常に単価が高い。そのため、次年度の研究費のほとんどは試薬購入費用となる。また、全ての結果は少なくとも2度の再現性を確認するための費用を計上している。
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