本研究では、加齢性疾患に係わるインスリンシグナル伝達に対するメタロチオネイン(以下、MT)の関与をMT遺伝子欠損マウス(以下、MTKOマウス)を用いて検討した。MTKOマウスは、野生型マウスと比較して寿命が短いことが明らかとなった。このマウスの脂肪組織形成能は、野生型マウスのものより高く、高脂肪食摂取下では糖代謝能の亢進も見られた。またMT遺伝子を発現抑制した前駆脂肪細胞は、脂肪細胞への分化能が高かった。さらにMTKOマウス由来の線維芽細胞は、インスリンシグナル伝達の亢進が認められた。以上から、MTがインスリンシグナル伝達を制御し、加齢性疾患を抑制するという仮説の一端を明らかすることができた。
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