研究課題/領域番号 |
24790136
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
辻川 健治 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (50356193)
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キーワード | 近赤外分光法 / 規制薬物 / 覚せい剤 / SNV処理 / 二次微分 / ライブラリ検索 / MDMA |
研究概要 |
1 ポリ袋中の模擬覚せい剤資料(メタンフェタミン塩酸塩と増量剤の混合物)中のメタンフェタミンについて、近赤外分光法による検出を試みた。ポリ袋中の模擬覚せい剤資料のスペクトルを数学的に前処理(SNV処理後に2次微分)し、メタンフェタミン塩酸塩と増量剤の混合物のスペクトルからなるスペクトルライブラリに対し、ライブラリ検索を行った。検索波長範囲を制限して微分相関係数でライブラリ検索を行った場合に、資料中のメタンフェタミンを最も良好に検出することができた。本法によるメタンフェタミンの検出下限濃度は増量剤に依存するが、25-50%であった。 2 MDMA錠剤中のMDMAについて、近赤外分光法による検出を試みた。MDMA錠剤のスペクトルを1と同様に数学的に前処理した後、MDMA塩酸塩と賦形剤の混合物からなるスペクトルライブラリに対し、ライブラリ検索を行った。検索波長範囲を制限して相関係数でライブラリ検索を行った場合に、資料中のMDMAを良好に検出することができた。本法により、MDMA錠剤実資料27試料中22試料を陽性と判定できた。一方、MDMAを含まない医薬品錠剤については、53試料すべてを陰性と判定できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1 前年度行った規制薬物標準品を対象とした研究については、現在研究成果の公開の段階に移っており、研究成果については日本法中毒学会第32年会で発表したとともに、現在Forensic Science International誌に投稿中であるため。 2 今年度行ったポリ袋中の模擬覚せい剤資料を対象とした研究についても、研究成果の公開の段階に移っており、研究成果については日本薬学会第134年会で発表したため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果について、論文作成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に近赤外分光計本体を購入する予定であったが、予算不足のため、レンタルに切り替えた。そのため、平成24年度に多額の次年度使用額が生じた。平成25年度については、この次年度使用額を生かし、積極的に試薬等の購入を行ったものの使い切ることができなかった。 脱法ドラッグ標準品を合成するための原料を積極的に購入し、残額の消費に努める。
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