1 最終年度の成果:これまでの研究成果をまとめ、論文を作成した。近赤外分光法による規制薬物標準品の同定・識別に関する研究はForensic Science International誌に受理された。また、錠剤型麻薬中のMDMAの検出については、Journal of Forensic Sciences誌に投稿中である。
2 研究期間全体を通じた成果:捜査現場での予試験に供するため、可搬型近赤外分光計による各種規制薬物のスクリーニング法について検討を行った。各試料の近赤外吸収スペクトルに対し数学的な前処理(SNV処理後Savitky-Golay法で二次微分)を行い、得られたスペクトルに対し相関係数または微分相関係数によりライブラリ検索を行った。また、ライブラリ検索した際に得られる結果のうち、最上位にヒットした化合物に対する類似度(α)及びαと次位の化合物に対する類似度(β)との差(α-β)を指標とて用い、それらが一定の閾値以上の場合のみ薬物陽性と判定することにした。この方法論を用いた場合、規制薬物全般のスクリーニングについては、類似化合物間でも誤ることなく識別することが可能であった。また、ポリ袋内の覚醒剤の検出及び錠剤型麻薬中のMDMAの検出については、偽陽性を起こすことなく対象薬物を判定可能であった。
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