研究課題/領域番号 |
24790145
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
荒木 拓也 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00568248)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 抗体医薬 / 個別化医療 / 薬物療法 / 二次無効 |
研究概要 |
抗体医薬品は特定の分子に作用し、その分子の遺伝子多型に基づく効果や副作用の個人差が報告されているが、遺伝子多型解析のみでは個人差を説明できず、さらに二次的無効(耐性化)等が現在問題となっている。本研究では抗体医薬品の薬物動態の観点から抗体医薬品の効果の個人差を解明しこの個人差を予測するためのマーカー検索を進め、同時に二次無効の発現メカニズムおよび対応方法を検討することとした。現在、対象抗体医薬品として抗リウマチ薬であるインフリキシマブおよび抗腫瘍薬であるセツキシマブを対象に設定し、薬物血中濃度解析法の構築を進めている。 高速液体クロマトグラム-質量分析計を用いた各抗体医薬品の血中濃度解析方法について検討した。対象薬剤を含む血液サンプルおよびブランクサンプルをそれぞれ還元アルキル化、ペプチド消化した後にTOF型質量分析計を用いて全フラグメントを分析し、主成分分析法により各薬剤特異的なフラグメントピークを抽出した。抽出されたピークを対象に分析法の感度を検討したところ、臨床評価に十分耐えうる感度を有していることを確認した。本検討により質量分析計を用いた抗体医薬品の直接的分析法を簡便に検討する方法論が確立でき、また同様の方法により二次無効要因の検索が可能であることが確認された。なお、本法を用いた抗体医薬品濃度の分析については現在臨床検体を用いてその評価を進めている。今後は本法を用いた抗体医薬品の薬物動態解析を進め、既存技術の結果と比較すると共に、薬効への影響を評価する。 また、二次無効要因の検索を目的として、対象患者の抽出を進めており、本年度構築した手法を用い、今後二次無効要因の検索を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、抗腫瘍薬および抗リウマチ薬を対象として、質量分析計を用いた直接的な血中抗体医薬品濃度の分析法を確立した。現在詳細な評価を進めているが、臨床検体の分析には十分使用できると考えられる。二次無効患者のサンプルを入手できなかったが、患者情報の抽出を進めており、入手出来次第分析が可能な条件を整えており、順調に進めていると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究で確立した高速液体クロマトグラム-質量分析計を用いた抗体医薬品の血中濃度解析方法を用い、がん患者およびリウマチ患者の血中薬物動態を解析する。この解析結果と治療効果および副作用の発現の関係を評価し、薬物動態と治療効果・副作用の関係を検討する。 また、各疾患の重症度に影響する遺伝子をPCR-RFLP 法もしくはシーケンス法にて解析し、各遺伝子の多型による治療効果への影響を評価する。 二次無効の要因検討としては対象医薬品使用開始初期の患者サンプルおよび二次無効発現後の患者サンプルを解析し、血中薬物濃度がどの程度影響しているか評価した後、これまでに構築した手法を用い、抗抗体医薬品抗体等、新たな生体内成分の発現が生じているかを詳細に評価し、二次無効の要因を検索することとする。なお、抗抗体医薬品抗体等の成分が検出された場合には併用薬の血中濃度も同時に解析し、免疫抑制剤の有無などによる影響を評価することとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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