研究課題/領域番号 |
24790145
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
荒木 拓也 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00568248)
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キーワード | 抗体医薬品 / 抗抗体医薬品抗体 / 質量分析 / バイオマーカー |
研究概要 |
抗体医薬品は特定の分子に作用し、その分子の遺伝子多型に基づく効果や副作用の個人差が報告されているが、遺伝子多型解析のみでは個人差を説明できず、さらに抗体医薬品に対する抗体生成に伴う二次無効や抗体生成が関係するとされるinfusion reactionなどの発現が問題となっている。本研究では抗体医薬品の薬物動態解析および二次無効に関連するもしくは薬効の個人差に関連するバイオマーカーの検索を検索し、患者ごとに適した薬物投与設計法の構築ならびに二次無効発現の回避方法について検討することとした。 前年度中に抗体医薬品のうち抗リウマチ薬に分類されるインフリキシマブを対象として質量分析計を用いた分析法を検討し、臨床検体の分析に必要な感度を満たす測定系を構築したが、本年度臨床検体を分析するにあたり、その前処理に不安定な工程があり、安定した分析が難しいことが確認されたため、当該年度は臨床血液サンプル中のインフリキシマブ測定に向けた調整と抗インフリキシマブ抗体の分析に向けた動物実験の条件を検討するとともにインフリキシマブの分析に向けた固相抽出を用いた安定的な前処理条件を構築した。現在、前処理によって目的成分を十分に濃縮できることが確認されており、またその前処理法は非常に安定していることが確認されているため、本法を用いた血液中インフリキシマブの定量を開始している。同時に抗インフリキシマブ抗体の生成に関する主要因の一つとして考えられる免疫抑制剤の高感度分析法を構築し、臨床データの解析ならびに動物実験の実施に向けた条件を確立した。次年度、インフリキシマブを用いた臨床薬物動態解析ならびに抗インフリキシマブ抗体の発現要因に関する動物実験を並行して進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に構築した分析法において前処理方法に不安定な部分があり、臨床検体測定時の測定結果について十分な精度が担保できないと判断したため、臨床検体測定を若干遅らせ、分析法について詳細な検討を追加したため、臨床検体の分析についてはやや遅れている。一方、抗抗体医薬品抗体の発現に関する大きな要因の一つとして考えられる免疫抑制薬の微量分析法を当該年度中に構築し、また次年度中に臨床薬物動態解析と二次無効発現要因に関する動物実験を同時に進行できるよう、臨床検体の分析のみならず動物実験に関する基礎検討条件を構築し、各種倫理委員会の承認を得られたことから、研究全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに抗体医薬品の分析法構築を簡便化するためのプロセスが構築され、さらに臨床応用するための前処理方法の安定化を可能としている。また、抗体医薬品に対する抗体生成に大きく関与するとされている免疫抑制薬の微量分析法も構築できていることから、今後は臨床検体ならびに動物実験における血液検体を回収し、淳司分析を進めていく予定である。 なお、動物実験により二次無効要因として抽出されたデータについてはリアルタイムに臨床検体のデータ解析に応用できるよう、両解析は同時に進行し、臨床検体については血清サンプルをタンパク分解した後の全成分を分析し、保管することで動物実験から得られたデータとの互換性を評価することとする。
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