本研究課題では、肥満時の薬物動態変動を明らかにすることを目的とし、免疫抑制剤タクロリムス、シクロスポリンに焦点を当てた。Body mass indexが高値の肥満群では、他の群と比較してタクロリムスの投与量あたりの血中濃度が高くなった。次に肥満モデル動物を用いて検討したところ、静脈内投与及び経口投与後のタクロリムス血中濃度は肥満群で高く推移し、さらに通常群と比較してバイオアベイラビリティーの上昇を認めた。また、小腸P糖タンパク質の発現は肥満群で低下していた。以上より、肥満患者にタクロリムスを投与する際には、バイオアベイラビリティーの上昇を考慮した投与設計を行う必要性があることが示唆された。
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