研究課題
申請代表者はアルツハイマー病 (AD) に対する経皮ワクチンシステムの構築を目的に研究を推進している。平成24年度は、ADに対するワクチン効果を検証するための評価系の構築を目的に、認知機能が低下しているADモデルマウスと正常の野生型マウスを用いて行動試験(モリス水迷路試験、新奇物体認識試験)、脳内アミロイドβの定量、脳組織切片における老人班の染色、についての条件設計を行った。その結果、ADモデルマウスでは野生型マウスに比べて認知機能の低下、脳内アミロイドβの蓄積が認められたことから、今回設定した実験系は有効性を評価するのに十分であることが示された。また、抗原としてアミロイドβならびにアジュバントとしてコレラトキシンを含有した針長800μmの皮膚内溶解型マイクロニードル (MH800) を作製し、針内部に装填されている抗原ならびにアジュバントを定量するためのELISA系の構築にも成功した。現在、アミロイドβおよびコレラトキシン含有MH800を用いて、ADモデルマウスに対する有効性を検証するとともに、免疫したマウスの免疫応答特性を評価することで副作用についても検討を進めている。今後は、針長が800μmよりも短いMH300 (針長300μm) へのアミロイドβの装填法の確立を進めるとともに、経皮ワクチン用アジュバントの探索研究に関する情報を収集する予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成25年4月より、研究室が近畿大学薬学部38号棟から近畿大学薬学部39号棟に移動となったため、その準備等により、一部の項目については当初の予定よりやや遅れているが、根幹となる項目については順調に進行している。
研究の方向性自体に変更はなく、根幹となる項目については順調に進行しているため、今後も当初予定通りに進行する。
平成24年度末から平成25年度初めにかけて研究室が新しい研究棟に移設することになったために、研究計画がやや遅れることになり、少額の繰り越しが生じた。これについては、繰越額が少額であるために次年度に請求する研究費と合わせて使用する計画である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Journal of Controlled Release
巻: 161 ページ: 10-17
10.1016/j.jconrel.2012.01.033.
巻: 160 ページ: 495-501
10.1016/j.jconrel.2012.04.001.