研究課題/領域番号 |
24790158
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大山 要 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50437860)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 抗体医薬品 / 質量分析 / 血清 |
研究概要 |
難治性疾患の有望な治療薬として期待される抗体医薬 (mAb) は、その血中濃度と薬効の関係性に最近注目が集まりつつある。しかし、ヒト化された mAb は生体内の抗体と相同性が極めて高く、簡便・迅速かつ精密に血中濃度測定できる分析法が十分に整備されていない。そこで本研究では、臨床応用可能な簡便性・検体処理速度・精密さを備えた新規測定法を開発する。具体的には、新たに考案した前処理操作で血中から mAb を高選択的に捕集し、mAb 由来ペプチドを従来の1/10の酵素消化時間で得た後、それらを秒単位で分離定量する測定法を構築する。 平成24年度はまずmAb の Fc 由来ペプチドを分離定量するための、LC-MS/MS 条件 (LC 条件:緩衝液 pH及び濃度;MS/MS 条件:イオン化電圧及び温度) の最適化を行った。続いて、前処理法 (選択的な mAb 捕集・酵素消化) を確立する目的で、モデル mAb として、関節リウマチ治療薬インフリキシマブを用いた。インフリキシマブのターゲットであるTNF-を、最も高い固定化効率が得られている文献をもとに磁気ビーズへ固定化した。次に、磁気ビーズによるインフリキシマブ捕集後にトリプシン消化を行い、インフリキシマブの Fc 由来ペプチドが検出されるか確認した。具体的には、インフリキシマブ非添加・添加血清をそれぞれ処理し、添加血清でのみ Fc 由来ペプチドが同定・検出されるか調べたところ、該当するペプチドは検出されなかった。そこで、各mAbに共通するFcではなく、固有のアミノ酸配列に関する情報を現在収集しており、これらにターゲットを絞ったMRM分析にて定量を行うための予備検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、抗体医薬品に共通するFc由来ペプチドを測定対象とする予定であったが、適したペプチドが検出されなかった。そこで現在、各抗体医薬に固有のペプチドにターゲットを変更したため、計画に遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は11.に記載した通り、分析対象を変更することとなったため、当初計画より進捗が遅れている。よって、今年度はエフォートを上積みして計画通りに完了するよう努力する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度には当初計画からの変更が必要な設備備品費は発生しない。
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