研究課題
高尿酸血症は心血管疾患(CVD)および慢性腎臓病(CKD)の危険因子であり,これらに共通する病態メカニズムとして酸化ストレスによる血管内皮障害がある。本研究では,酸化ストレスの観点からCVDおよびCKDの予防に最適な高尿酸血症治療薬の探索を行うことを目的とし,高尿酸血症治療薬の抗酸化作用と血管内皮保護効果をin vivoもしくはin vitroから解析を行った。その結果,高尿酸血症治療薬の一つであるBenzbromaroneがスーパーオキシドラジカルに対して直接的なラジカル消去能を有することを示し、さらに血管内皮細胞を用いた実験により、尿酸だけでなくアンジオテンシンII添加による細胞内酸化ストレスの増大をBenzbromaroneは抑制し、尿酸トランスポーター(URAT1)非依存性の酸化ストレスに対しても抗酸化作用を有することを明らかにした。また次に,in vivoにおけるBenzbromaroneの抗酸化作用を評価することを目的に、アンジオテンシンIIと食塩の負荷による高血圧モデルラットに対してBenzbromaroneの4週間連日経口投与を行った。その結果、Benzbromarone投与は血圧および尿酸値に影響を与えないものの、酸化ストレスマーカーである蛋白質過酸化物を有意に低下させ、尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシンの減少傾向を示した。また、腎組織ジヒドロエチジウム(DHE)染色においても酸化ストレスの抑制が示され、生体内でも直接的な抗酸化作用を発揮することが明らかとなった。尿酸トランスポーター阻害作用に加え直接的な抗酸化作用を有することで、今後BenzbromaroneはCKD・CVDの予防に有用なマルチな抗酸化剤となる可能性が期待される。
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Biol Pharm Bull.
巻: 38 ページ: 487-492
10.1248/bpb.b14-00514