平成25年度は食道癌患者への化学療法実施後のCINVの発現と、CINVバイオマーカーの候補物質として考えられている神経内分泌ペプチドの血中濃度との関連について引き続き検討した。化学療法(シスプラチン+5-Fu)が実施された食道癌患者10例について、化学療法実施前、実施後1、3、8、28日目の起床時に前腕部より血液を3ml採取し、確立したEIA法により、血漿中のacylghrelin、des-acylghrelin、leptin、motilin、somatostatin、vasoactive intestinal polypeptide、calcitonin gene-related peptide濃度および血中プラチナ濃度を測定した。また、化学療法実施前および実施後1-8日目まで、Visual analogue scale(VAS)scoreによるCINV発現状況、摂食状況および副作用症状を評価した。その結果、血漿中acylghrelinおよびsubstance P濃度が化学療法後8日目に有意に減少していた。また、acylghrelin/total acylghrelin比とVAS scoreおよびsubstance PとVAS scoreに相関が認められた。血中acylghrelinとsubstance P濃度はCINVの症状を反映するバイオマーカーになることが示唆された。本研究の結果は、化学療法患者に対する制吐療法の個別化にすぐにでも応用可能であることから、大変重要な知見であると考えられる。本研究の結果は、2014年7月開催の第12回日本臨床腫瘍学会学術集会にて発表予定であり、また現在、論文に投稿中である。
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