研究概要 |
化学療法誘発性悪心・嘔吐は、患者にとって苦痛度が高くQOLを損なう大きな原因の一つである。本研究では嘔吐リスクの高いシスプラチンおよびAC療法が施行された固形悪性腫瘍患者を対象に、グラニセトロン + デキサメタゾン + アプレピタントによる標準的制吐療法の効果に影響することが考えられる遺伝子多型を解析する。また、プロスペクティブに嘔吐発現を中心とした有害反応に関するデータ集積を行い、遺伝子多型との関連を総合的に評価する。 初年度は、日本人健常者100名においてABCB1(1236C>T, 2677G>T/A, 3435C>T)、ABCG2(34G>A, 421C>A)、ABCC1(128G>C, 1299G>T, 2168G>A, 2012G>T)遺伝子多型解析を実施し解析系を確立した。また、標準的制吐療法が施行された悪性腫瘍患者82名を登録し、外来通院時に、血液試料の提供を受けている。これまで申請者らの研究でグラニセトロンの制吐効果との関連が示唆されているABCB1遺伝子多型を対象患者で解析した。次年度は、引き続き症例登録および患者検体の集積を行う。制吐療法の効果とABCトランスポーターの遺伝子多型の関連を解析し、制吐効果の予測マーカーとしての有用性を明らかにし、安全で効果的な制吐療法を実践するためのエビデンスを構築する。
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